倉天裏 | ナノ





「おい!松風」

怒鳴ったように名前を呼ばれ
びっくりした様子で振り返る
松風。そのキョトンとした顔
にでさえ欲情してしまうのだ

「はい?なんですか?」

拍子抜けするような返事で、
振り返る。あれ何を言おうと
していたんだろうか、忘れた

「倉間先輩?」

下を向いた俺の顔を覗き込む
陽気な松風の顔がなんだか、
困った顔をしている気がした
何故名前を呼んだのかすら、
忘れてしまった俺はただ松風
の困った顔を見つめていた。

「もしかして!」

いきなり叫びだし、心配した
様子でおでこにおでこを擦り
つけ始めた。んー熱はない!
なんて言いながら目と目が、
パチと合った。心臓が壊れる
くらいドキドキうるさくて、
うるさくてなんだか自分じゃ
ないみたいだった。松風に、
ドキドキさせられるなんて…
不覚にも程がある、はあーと
溜め息をついた。

「倉間先輩、大丈夫ですか」
「ああ?熱はねえよ」
「けど顔が暑いですよ?」
「そうか?なら、熱下げてくれよ」
「どうやっ…」

何も言わせないよう口を塞ぐ
んぐぐと言いながら苦しそう
に息をする。口を離すと松風
は、ぷはあと息を吸った。

「くっ倉間先輩?」

目には涙を大量に溜めていて
今にも零れ出しそうだった。
そんな松風を見て、またまた
自身に熱を持った気がした。
松風と小さい声で名前を呼ぶ
こんなにも憎たらしいはず、
なのになんでこんな気持ちに
なるのか。考えているだけで
頭が痛くなってくる。

「松風っ俺、お前が…」
「おまえが…?」
「言わなきゃわからないのか!」
「えっあっはい、」
「鈍感。なら後で言ってやるよ」
「後って?あっやああ、」

松風の性器を触るともうすぐに
硬くなっていた。嫌だといって
いた筈なのに。耳元でそう囁く
とより一層松風自身は大きく、
膨らんでいた。ズボンの上から
ゆっくり上下に動かしていく。

「くらっくらませんぱっだめ」
「ん?もっと触って欲しいのか」
「ちがっやあ、んっあ」
「そんなこといってお前のそこ
どうなってるか分かってるのか?」

真っ赤な顔を俺からぷいっと
背けた。松風の、いや天馬の
可愛い顔がよく見えない。

「顔、よく見せて?」
「んん、いやあっ」

拒絶する天馬の顔が余計に俺の
S心を擽る。大きくて飛び出し
そうな瞳からは透明で綺麗な物
が頬に線を作っていた。

「松風?」
「…うっ」

涙を堪えようと必死になって瞳
を拭う。目の回りが赤くなって
とても痛そうだった。ああ、
なんでこんな事してるのか…?
ばかばかしくてなんだか溜め息
ばかりが漏れていく。好きな奴
を泣かせるなんて小学生以下だ
泣きじゃくる松風の頭を優しく
撫でた。嫌われたくないという
感情が勝ったからこんなことを
してると思うだろ?けど違う。
今更どうなることじゃないから
だからせめてもの償いだ、別に
泣かせたかったわけでもないし

「ごめんな、松風。もうしない」
「うっちが、ごめんなさっい」
「なんでお前が謝るんだ?」
「ちが、おれくらまっ先輩が…」

その先は俺が言おうとしていた
言葉と同じ物なのか?松風の
考えている事が同じことなのか
わからなかったがそうであると
信じてみたかった。だからその
先は俺に言わせろ。なんて、
かっこつけていってしまった。

「…松風。お前が好きだ」
「ん、おれっ」
「…」
「おれっ、倉間先輩が好き」
「…ごめんな」
「え、なんでですか?」

キョトンとした松風を見て、
さっきしようとしたことだよ
そう言いながら頭を軽めに
小突いてやった。松風は、
しきりに笑顔を見せてくれた
無理矢理自分の物にするより
優しく優しく甘い飴をあげた
ほうがいいんだな。小さく
呟くと松風は、くるり後ろを
振り返り何か言いましたか?
そういって、拍子抜けする
笑顔を見せた。

「愛してるよ、天馬。」


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久しぶりに書きました。
亀更新すいませんでした

今日から頑張るつもりです
宜しくお願いします。


2013.07.28