気付いたときにはもう遅かった。大切なものはいつだってもう無くなっている。何度も何度も、同じことの繰り返し。

離れてから初めて分かる愛だなんて、そんな漫画の中のような話を信じてはいなかった。そんな後悔を一度だってしたことがなかったから。そしてそれは、本気の恋をしていなかったから。いつだって俺の心は俺のもので、他の誰にだって渡さなかった。渡せなかったんだ、だって誰も好きじゃなかったから。愛してる、そう言えば女は満足そうに俺を抱き締める。気持ちが悪い、本当は突き飛ばしてやりたいくらいだ。お前は俺の何を見ている。俺は、お前を何も見てない。

別れてから、何度も何度も違う女を抱いた。一夜の関係と分かってながらも愛を囁くと女は俺にとろんとした目を向ける。口先だけの言葉とわかってながら俺に落ちる、迷惑でしかない。色んな女をあいつに重ねた。重ねたところで虚しくなるだけなのに。たまに情事の最中に名前を呼んでしまうこともある。その時はその女に思いっきり殴られるが。そして自分で自身を慰める。哀れだなぁといつも思う。

それでも過去は戻らない。何をしたってそれは過去でしかなくて、今に繋がることはないのだ。大好きなのに、






100313
企画そして時間は動き出す様に提出




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