冬の空が好き。寒空の下、映えるようにきらきらと輝く星を見るのが好き。そんな景色を見ながらはぁって息を吐くと白い息が出るの。そして、バカだなって笑いながら手を握って欲しい。



その夢を語った当時、隆也は思いっきり私をバカにした。何よ、いいじゃない。私の夢なんだもの。そういいながら私の手を握ってくれた隆也。あれからもう5年たつんだね。車の窓から何年たっても変わらない埼玉の空を見る。あんなこともあった。こんなこともあった。たくさんたくさん喧嘩した。でも明日、結婚する、だなんて。



「私のことバカにしたくせに手握ってくれたよね」

「うっせ」

「何さ、褒めてんのに」



まさか私が隆也と結婚するなんてね。喧嘩する度にこんなやつ無理!って思ったのに。今じゃ不思議なくらい隆也が好き。どんなことをしてでも隆也と一緒にいたい。どんなことがあっても隆也と結婚したい。



「明日何時だっけ?」

「ちょっと忘れないでよ!8時に式場ね」

「迎え行かなくていい?」

「お父さんとお母さんと来るから大丈夫」



今日は独身最後の日。最後ぐらいお父さんとお母さん、それから弟と過ごすことにした。きっと隆也のお母さんだって寂しいだろうしね。シュンくんだって寂しいに違いない。今帰っても夜は遅いし明日は早いしあんまり意味ないのかもしれないけど。それでも最後だから。とはいったって明日両親にはお涙頂戴な手紙は読むからあんまりしんみりはしたくない。



「明日盛り上がるかなー」

「田島がいるんだからうるさくはなるだろ」

「うわ、楽しみになってきた」



昔はこの道を2人で歩いていた。歩きながら空を見上げて、隆也を好きだなって思った。でも今はこうやって車に乗って空を見てる。時の流れは早い。車も早い!もうちょっとしっかり見たいんだけどなぁ。



「明日さ、帰り歩いていて帰らない?」

「は?何でだよ」

「いいじゃん!昔を思い出しながらさ!」

「まぁいいけどよ」



昔と変わらない。いや、少し違うかも。距離がずっと縮まった。多分、この距離は変わらないと思う。少なくとも近くはなっても遠くはならない。だって、昔描いた夢がそのまま叶っているんだもの。今描いてる夢だって、きっと叶うはず。私、幸せになれるわ。





091208
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