不思議なのはわたしは彼にはびっくりするくらいするすると言葉を投げかけることができるってこと。ほんとうになんなんだろう彼はなんなんだろう 「こんなやつがすきなんだ?」 「そう、きみがこんなっていうきみすき」 「えー。物好きなんだね」 「だから変わらなくていいよそのままでいいよきらわれたくないだろう?」 「そっか、うん、そうだね、わたし、このままでいいんだね。なんだかとても気持ちがかるくなれたよ。ありがとう。でもわたしは変わるよだって変わりたいから、きみはすきだと言ってもわたしはいまの自分がだいきらいだから捨てたいし失いたいから変わるよ、変わってみせるよ。その結果としてきみにきらわれても、もう、いいや。わたしにはきみよりも大切に思うひとたちがいてそのひとたちはわたしをてきとうに愛してくれる。わたし、待つのはドキドキとかワクワクな楽しみにする気持ちに押しつぶされそうになるからすきだけど、きらいだけど、そこらへんで暇つぶししながらわたしはきみじゃないひとを待つよ」 「ふうん、そう。べつにいいけど誤解してるね、こんなきみがすきだしこんなきみでもすき、どんなきみでもすきっていう意味。きみがどんなに長い暇つぶしをしながら待っても誰もあらわれなくて最後にはやっぱり俺かもしれないよ」 「そしたらそれは運命」 「でも俺にはきみじゃないかもしれないよ、というかそのほうの確率のほうが高いかもね」 「だったらわたしには他の人があらわれる。最後はきみかもしれない、でも最後の最後はべつのひと」 「わけわかんね」 「わたしはきみの特別にはならないよこうしてゆるくつながることはできても。わたしはそれが一番いいと思うけど」 「まあ、そうだね、こんなくだらない話以前に付き合ってるけど付き合ってないもんね俺たちは」 「むだだったね」 「まったくだ」 |