ふと空を見上げると、遠くに何かが飛んでいるのが見えた。太陽が眩しくてよく見えないけれど、それはポケモンのようだ。……珍しいポケモンだな、赤と白の鳥ポケモンっていたっけ? エアームドは違うし、オオスバメでも無いだろうし……何かの色違いかな?
瞬きして、もう一度見ようと探してみるけれど何処かに行ってしまったようだ。すごい素早いポケモンなんだろうな、一瞬にしていなくなっちゃったよ。もしかしたら鳥ポケモン以外の空を飛べるポケモンかもしれないし、それに他の地方のポケモンかもしれない。あの配色、この地方にはいなかったはずだしな。
横にいたキルリアが私のスカートの裾を引っ張って、どうしたの? とでも言いたげに首をかしげる。私は空から視線を戻すと何でもないよと笑いながら、キルリアを抱き上げ歩き始めた。こういう自分の知識だけでは足りない時に、ポケモン図鑑が欲しくなるんだよな……。

その日の夕方。ポケモンセンターの食堂で優雅に夕飯であるチャーハンを食べてながらテレビでニュースを見ていると、見覚えのある景色が写し出された。あれ、これこの辺りじゃない? 平和だから殺人犯が強盗犯がとかは無いだろうけど、何かあったのだろうか?
眼鏡をかけたニュースキャスターが、嬉しそうに口許を微かに緩ませながら手元の原稿を読む

『……タウンにて、ラティアスの姿を確認をしました』

「まじかよ」

画面が切り替わり、写し出されたのはラティアスの写真。赤と白のボディに丸い眼、相変わらず可愛らしい。映画の影響でラティ兄妹好きなんだよね。ラストのラティオスには泣いたよ、あれはもうね、泣くしかないよ。
ラティアスはゲームと同じく移動し続けるポケモンのようで、今回のように確認することができるのはとても珍しいそうだ。写真を撮ることに成功したのも偶然らしい、ラティアスはすぐに姿を消してしまうようだ。図鑑の追跡機能があれば追いかけられるのにね、ゲームみたいにうまくいかないだろうけど
移動するポケモン捕まえるのって難しかったな、と懐かしいゲームを思い出した。ぼんやりとしていたら、いつのまにか他の話題に変わっていた。どうやら今はコイキングが大量発生しているらしい、見てみたい

「ラティアス見てみたかったね」

お行儀よく椅子に座りながらポケモンフーズを一粒ずつ食べているキルリアにそう話しかけると、何故か残念そうな表情をされた。何事だ。……そうか、キルリアも見たかったのか。そう思ってキルリアの頭を撫でていたらコモルーにため息をつかれた。解せぬ。
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