朝起きたら目の前にキルリアがいました。あれっ、昨日の夜はこんな近くにいなかった気がするんだけど気のせい? とりあえず、隣で眠っているキルリアを起こさないように静かに起き上がる。いつもだったら私が起きるのと同じくらいに起きるキルリアがまだすやすやと眠っている、珍しいな……夜更かしでもしたのかな?
頭を撫でてあげると、くすぐったそうに身をよじらせた。可愛い、ラルトスの頃も可愛かったけどキルリアになっても可愛いな。ていうかうちの子は可愛い、無条件で可愛い。親バカってことはわかってる、だって可愛いんだもの仕方ないじゃないか

「……あ?」

何で、ヒンバスのいる盥がこんなに近くにあるの? ベッドを降りようとベッドの端に腰かけたときに気がついた、いつもよりもかなり近くむしろベッドのすぐ横に置いてあった。寝る前に置いた場所からかなり位置が動いている、何でこんなに位置が動いてるんだ?
よくよく見てみると、コモルーもいつもより近くで眠っている。いつも通りの盥のすぐ横にクッションをひいて眠っているんだけども、その盥がベッドの近くにあるからコモルーもベッドの近くで寝ている。コモルーだけだったら寝相の悪さとかだと納得できるんだけど、何故盥まで動いてるんだ?
不可思議な現象に首をかしげながらもベッドから降り立ち上がると、床についた足音でコモルーが目を覚ました。眠たそうな目をしながらぼんやりとカーテンがわずかに開いている窓の外を見つめている

「おはようコモルー」

大きくなったその体をしゃがんで撫でてあげると、もっと撫でろと言わんばかりに手に体を押し付けてきた……だと……? 寝ぼけているのだろうか、ツンデレなコモルーが自ら甘えてきてくれるだなんて! テンション上がって全力で撫でていたら、いつのまにか起きていたらしいキルリアの腕が首にまわった。恋人にするように後ろから抱き締められる、やだ恥ずかしい照れちゃう

「キルリアおはよう」

後ろに空いている方の手を回してキルリアの頭を撫でてあげると、嬉しそうに鳴いてぐりぐりと頭を押し付けてきた。何この子可愛い超可愛い。ぎゅうぎゅう抱きついてくるキルリアに頬が緩むのがわかる。いつも甘えてきてくれる子だけど、こんなに積極的に甘えてくれることはあまりなかったからな。すごい嬉しい
でれでれとしていたら、騒がしかったのか眠っていたヒンバスが起きてしまった。まだ眠いのかぼんやりとしていたけれど、私が近くにいることに気づいたらしく眠気が吹っ飛びただでさえ丸い目をさらにまん丸くしていた。やっぱりまだ慣れてくれてないから、いきなりそばにいたら驚くよな……
ちょっとしょんぼりとしていたら、何故かコモルーがヒンバスをガン見している。後ろにいるからわからないけれど、キルリアもヒンバスを見ているような気がしてならない。うろたえる私に、ヒンバスは何かを決心したように私を見た
盥の端までよってきて、撫でていいよとでも言っているのだろうか水面からこちらに顔を出した。恐る恐る手を伸ばしてヒンバスに触れると、びくりと身を震わせたが逃げたりはせずに大人しくしている。そのまま手を動かし鱗にそって撫でてあげると、緊張がほぐれてきたのかおだやかな心なしか顔つきになった

「ヒンバス……!」

ヒンバスが嬉しそうにしているなんて! 触らしてはくれても、あまり嬉しそうな表情を浮かべたりしないあのヒンバスが! やっと思いが通じたのか!
テンションがうなぎ登り、けれどヒンバスを撫でる手つきはあくまでも優しく穏やかに。せっかく触らしてくれたのだからびっくりさせてしまわぬよう、細心の注意を心がけながら堪能する。つるつるとしていて、それでいてしっとりとしているコモルーともキルリアとも違うさわり心地。うん、この子は立派なミロカロスになる。てかする、立派なミロカロスにする。今のままでも可愛いけどな!
それにしても今日はやけにみんな甘えてくるな、にやにやがおさえられない。うちの子超可愛い! まじ天使! 幸せだ!
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