《ちるちる》と名前で呼ばれたパッチールを見た。人間は俺たちポケモンに名前を付け、名前で呼びたがる。確かに、種族名で呼ぶより名前で呼ぶ方が信頼関係が強そうだ。しかし、名前なんかで呼ばれなくても信頼関係は生まれるだろうし、強くなるだろう
俺は名前で呼ばれても呼ばれなくてもどっちでもいい、空を飛ぶのに名前なんてどうだっていい。空を飛ぶのに必要だって言うならつけてもらうが、必要じゃないんだろ? それに、ナナシとは名前なんてつけられなくても信頼関係は生まれてる。ナナシも一時期俺たちにナナシをつけようか悩んでいたが、結局やめてた。あいつただ単にネーミングセンスがないだけだろ
ネーミングセンスがないなりに考えてつけようとするのは良いが、悩みすぎてラルトス困らせるなよ馬鹿が。ラルトスはナナシのことを一番慕ってるから、あいつが悩んでるとラルトスまで悩んでる。あいつら馬鹿だろ、んなもん考えたって意味ないってのに

「ら、ら、ら……」

ラルトスにニックネームをつけようと悩んでいるのか、ベッドに転がりながら頭を抱えて悩んでいる。その横でラルトスがナナシを心配そうな表情を浮かべながら見ている。さっきすれ違った少女に影響されすぎだろ
ニックネームを特別なものと考える奴と考えない奴、ポケモンだって様々だ。一緒に修行する中だったクチートなんて、名前は縛り付けるものだって言ってたぞ。クチートにとって、名前を付けることは無理矢理主従関係に縛ることらしい
それに、俺もラルトスもヒンバスも名前なんて気にしてない。あいつら二匹は名前のそばにいれれば良いみたいだしな。ヒンバスはまだナナシに懐いてないように見えっけど、本当は懐いて慕っている。あいつは裏切られるのが怖いから、だから自分を騙してるだけだろ。そろいもそろって馬鹿ばっかりだな、まあ、そんな馬鹿を慕ってる俺も馬鹿なんだろうな

「……思いつかないーよー」

馬鹿な独り言と共にごろごろとベッドを転がるナナシと、真似をしているラルトスに二人が何をしているのかわからなくて疑問符をとばすヒンバス。一人でいろいろと考えるのが馬鹿らしくなって、寝ることにしてあくびを一つこぼす。お前が呼ぶ「タツベイ」ってのは俺のことだけを言ってることくらい、わかってるっての気付けよ馬鹿。ラルトスだってヒンバスだってわかってるのに、気づかないのはお前だけだ
名前なんてどうでもいいから、さっさと俺を空に飛ばせてくれよ。そしたらナナシを何処まででも何処にでもつれてってやれるから
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