なんで列車やアーマーガアタクシーで移動することを推奨しているのかというと、野生のポケモンに襲われる可能性があるのはもちろんのこと、町から町への移動距離が長いと言うこともあるのだと思う。実感した個人の感想。甘くみていた。想像していたよりも遠い。マップは縮小して表示されてるから行けそうな気がするし、実際に行ける場合だってあるけど今回は違った。
線路に沿って歩けば迷うことはないが道はあまり整備されていないし、野生のポケモンは飛び出してくる。そして何より先が見えない。
整備されている道路だったら看板がたっていることが多いのだが、ここにはそれがない。人が来ることを前提としていないのだから当たり前だけど。だからあとどれくらい歩けばいいのか、そもそもこの道であっているのかがわからなくなってくる。
今では列車もタクシーもあるから子供でもジムチャレンジに挑むことができるが、なにもない時代はジムチャレンジどころではなく町から町への移動すらも命の危険を感じたかもしれない。そう考えるとガラルの発展にアーマーガアは欠かせない存在だったのだろう。ありがとうアーマーガア。

「つっかれた!」

歩きすぎて足が疲れた。歩いて移動することは今までずっとしてきたというのに、体力が落ちたのだろうか。最近はボーマンダに空を飛んでもらって移動することが多かったのが原因かもしれない。それに人の部屋でだらだらとポケモンと戯れているだけの日を過ごすこともあったし、そういったことの積み重ねでこの様か……。反省しないと。でも今後は野宿にポケセン泊りの生活になるから、そのうち元に戻るだろう。慣れるまでが大変かもしれないけど。
行儀が良い行為ではないが、どうせ誰もいないので地べたに座り込んで休む。草むらで走り回っていたウィンディもこちらへと駆け寄ってきたが、すぐにまた走っていってしまった。私と違ってまだまだ元気だ。鞄から取り出したペットボトルの水をひとくち飲む。
誰かに強いられているわけでもないので、諦めて町までボーマンダで飛んでいくこともできるので本当に無理そうだったら諦めるつもりだ。でも時間はあることだし、行けるところまで行ってみたい気持ちもある。それに、ポケモンたちはまだまだ元気だし進む気でいる。さすがにポケモンセンターがある町まで今日中にたどり着くことは出来ないだろうから野宿になるだろう。

「早めに洞窟かどこか見つけないと」

ペットボトルを鞄に戻してから立ち上がると、再びウィンディが駆け寄ってきたのだが何故だかワンパチを連れている。

「仲良くなったの?」

そう尋ねると尻尾を勢い良く振りながらひとつ吼えてみせる。それにつられる様にワンパチもきゃんきゃんと吼え始めた。仲良くなれたのは良いことだ。
触らせてもらえないだろうかと手を伸ばしてみたが、するりと身をかわされてしまった。ポケモン同士と人間相手では対応がちがっていて当たり前だ。少し寂しいけど。慰めるようにウィンディが行き場を失った手に自身の頭を擦り付けてくれるので、ワンパチと比べてずいぶんと大きい頭を撫でる。

「撫でがいがあって好きだよ」

撫でがい、なんて言葉は存在しないだろうがそんなことを知らないウィンディは全身で喜びを示す。とてもかわいい。調子に乗って全身撫でまわしていたらちょっと疲れてしまったし、いつのまにかワンパチはいなくなっていたが後悔はない。
それじゃあ行こうかと声をかけると、今度は一匹で先行せずにしっかりと私の横に立つ。ワイルドエリア、いちいちポケモンをボールから出したりしまったりしてると危ない。その一瞬の隙をついて容赦なく人間を襲ってくる。そのためかポケモンをボールにしまわずに連れ歩いていても特に何も言われないし気にも留められないので、こちらとしてはありがたい。

「住みかじゃない洞窟ないかなぁ」

雨風が凌げる洞窟は人気物件のためすでに誰かの住みかになっている場合が多い。そのため誰のものでもない、そこそこな広さを持つ洞窟はあまりないのだ。
私の言葉を聞いていたのだろう、ひょっこりと木の影からキテルグマが顔を覗かせたかと思うとこっちにおいでと手招きする。いやその心遣いは嬉しいけどキテルグマの住みかはちょっと。ごめん追いかけてこないでこわいこわい。
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