シルバーと別れたあとポケセンに戻りちょっとベッドで横になっていたら夜になった。あれ、おかしいなぁ。
ガーディは床でクッションを枕にして、そんなガーディをピカチュウが枕にして寝ていた。自覚していたよりも疲れていたのだろうか、肉体的疲労よりも精神的疲労の方が大きかった気がするがまあいい。
私が起きた気配に気づいたのかコモルーが近づいてくる。ベッドから降りてコモルーの頭を撫でるといつものように軽く頭突きをされ、それから私を外に出そうと後ろからぐいぐいと押してくる。

「コモルー、何処に行きたいの」

声をかけても答えが返ってくるはずもなく私を押す力が強まるばかりだ。仕方ないのでぐっすり寝ているピカチュウとガーディを置いて、途中で眼が覚めたキルリアとミロカロスと共に部屋の外に出る。
そのままコモルーに押されるがままに歩いているとポケセンの外を出てさらに町を抜けて森にたどり着いた。ウバメの森、昼間にシルバーと共に訪れたところだ。
生い茂った木々の葉や枝の間からこぼれ落ちる月の光が綺麗で、昼にみた光景との違いに思わず立ち止まって見上げているとキルリアに腕を引かれる。

「ねえ、何処まで行くの?」

私の言葉にキルリアはコモルーと目を合わせながらくすくすと小さな笑い声を漏らす。わからないまま進んでいくと、先程までとはちがい開けた場所に出た。そこには小さめだが湖があり、周りに木が少ないからかまるでスポットライトに照らされてるかのように月の光がさしていてとても美しい光景だ。
思わず見とれているとばしゃりと湖面が水しぶきをあげる、いつの間にかボールから出ていたミロカロスが湖に飛び込んだようだ。
キルリアに誘導され波打ち際に座ると、キルリアとコモルーが私を挟むように両隣に座りぎゅうぎゅうと身を寄せてくる。笑いながら二匹を撫でるとさらにぎゅうぎゅうと身を寄せてきてとても狭いが、嫌ではない。
そんなことをしていたら弧を描きながらミロカロスが湖面から跳ね上がる。水しぶき、そしてミロカロスの艶やかな鱗を月明かりが輝かせる。とても、美しい。

「綺麗だね」

私の言葉に二匹とも頷く。湖面から顔を覗かせたミロカロスが舞台に立った役者のように恭しく頭を下げる。そして私たちが座っている打ち際まで泳いでくると身体を伸ばしてすり寄ってきた。ぎゅうとその頭を胸に抱え込むように抱き締めると嬉しそうに目を細める。
そういえば久々にこうやって三匹とゆっくりと過ごした気がする。決して、ガーディとピカチュウが邪魔な存在だと言うことではない。ただどうしてもキルリアやコモルーに比べて幼い彼らの世話をすることが多く彼らと過ごす時間が減っていたと言うのは事実だ。
もしかしたら寂しかったのかななんて思いながらミロカロスの頭に顔を埋めるとひんやりとした鱗が肌に触れて気持ちがいい。
ぐりぐりとミロカロスの頭に自分の頭をすり付けると、ミロカロスはしなやかに尻尾を動かし水面を叩き水しぶきをあげる。ミロカロスから身体を離し次はキルリアに抱きつくと背中に腕を回し、私の頬に自分の頬をくっつけてきてとてもかわいらしい。
そんなことをしていると後ろからどん、とぶつかられる。振り向くとコモルーがじっと私を見つめていた。
キルリアはコモルーに気づくと自ら離れていき、コモルーを促すかのように鳴いた。

「コモルー」

「……ぎゃう」

「ありがとうね」

呼ぶと背中側から横にきて躊躇いがちにだが身体をくっつけてくる。その大きさのせいでキルリアやミロカロスのように抱き締めることはできないが、寄りかかりながら身体を撫でると満足そうに小さく鳴く。
もしかして、昼にコモルーがこの場所を見つけてくれたのかな。それで連れてきてくれたのかもしれない。かわいいことをしてくれるじゃないか。

いやあ、それにしても癒された。うちの子が一番かわいい。

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