まあ結局なんやかんや言ってもうちの子は強いですしおすし。火の粉を繰り出し電光石火を繰り出し、体力がきつくなったら無理はせずに交代して勝てました。
ちなみにライバルは私が僧侶の長らしき人と戦うときにはすでに階段を降りていた。その際に何故か、私に対してまた来るだのなんだの言っていた。それは主人公と会うイベント……ゴールドと話をするイベントを発生させるためだろう。
イベントを狂わせるようなことをしてしまったのか、反省しなくては。しかし、あの菱豆沙音には会いたくないんだよな。ゴールドと一緒に行動してるらしいから、追いかける形になると遭遇しやすくなる。
だから先に先にと行動したかったんだけど……。でもイベントがちゃんと起こるよう、辻褄があうようになっているみたいだから多少は大丈夫かもしれない。
秘伝マシンのフラッシュをいただいてから、階段をかけ降りると体力が余っているガーディがおおはしゃぎ。わふわふ言いながら尻尾を振り回し私より先に階段をかけていく。超かわいい。ふふふ待てよこいつう、と追いかけられたのは途中までだった。体力の限界はすぐに訪れ呼吸困難で死ぬかと思った。はしゃぎすぎた。
途中からは普通に歩いて階段を降りたのだがまだゴールド達は来ていなかった。主人公だから、イベントやらに忙しいのだろう。たしか、卵をとりに行ったりしていたし。これならもう少しくらいならゆっくりしていても大丈夫だろう。今日はもうすこし修行したら休んで明日、ジムに行こう。
まだ元気なガーディは足元をぐるぐる回っている。失礼な言い方だが、アホな犬にしか見えなくてかわいい。アホの子かわいい。マダツボミの塔の攻略はガーディとピカチュウが中心だったから、他の子達にがんばってもらおうかな。彼らにとって初のジョウト地方でのバトルになるのか、楽しみだな。

「ガーディ、ピカチュウ。そろそろボールに戻ろうか」

「きゅーん……」

寂しそうにするガーディに心が痛むが仕方がない。ボールを嫌うピカチュウがすごい表情を浮かべててビビった。

「今日はもう休みなさい。明日はジムだしね」

ガーディとピカチュウをどうにか説得し、渋ってはいだがどうにかボールに戻す。二匹だけを連れ歩くのはすこし不公平だし、他の子にも外の景色を見せたいから仕方がない。さすがに全員をいっきに外に出すわけにもいかないから我慢してもらわないと。
さて、どこに行こうかな。普通に草むらでも良いけど、アルフの遺跡が近くにあるんだよな。アンノーンしか出てこないけど、観光にはいいかも知れないと思いそちらに向かう。そういえば遺跡限定で流れるラジオのあれを実際に聞いてみたかったな……ポケギアを買うために資金を集めようかな。


アルフの遺跡前の関所までやって来たのだが、何やら様子がおかしい。ゲームの中でも人通りが多いわけでもなかったが、それにしても人が少ないし関所を避けるように歩いている。たしかに関所の前に人が二人立っているのだが……あ、ロケット団だ。ロケット団とわかりやすい、大きくRと書かれた制服を着て通行人を睨み付けている。たまに通行人に対して怒鳴ったり、恐喝めいたものをしている。
皆、ロケット団を避けているため人が少ないのだろう。私も関わりたくないし、仕方ないから帰ろうかな。遺跡はいつでも観光できるし、今日は草むらで修行しよう。そう思って関所に背を向け来た道を戻ろうとすると見覚えのある姿がこちらに近づいてきた。避けようかどうか迷っているうちに、あちらも私に気づいて近づいてきた。

「……こんなところで何をしてるんだ」

私を睨みながらそう言ったライバルは不機嫌だ。

「アルフの遺跡を見ようかと思ったんだけど、まあ、色々あって」

「チッ、ロケット団か」

ライバルは関所にいる見て舌打ちをし、次にこちらを向いてから小さくため息をついた。そして人を馬鹿にしたような笑みを浮かべる。煽り耐性があるから少し苛つくだけですむが、慣れていない人やゴールドのような性格の人だったら声を荒いでいるはずだ。

「なんだ、ロケット団ごときに怖じ気づいているのか? お前のポケモンは弱そうだもんな」

「まさか。今から行こうとしていたところですよ」

残念! 煽り耐性があるかと思いきやそんなこともなかったぜ! 私のことはまあいいとして、この子達を馬鹿にするのは許さん。泣くまで殴るのをやめないレベル。
言いきった私にライバルは目を丸くしたが、すぐに嫌な笑みを浮かべて少し遠くに行った。そこから観戦するってことか。少し視線を動かすと、腕を組みこちらを見ているライバルがいた。視線を戻し、ロケット団に近づく。ロケット団は私を見ると腰についているボールに手を伸ばし、私を睨む。

「なんだお前! ロケット団に楯突くつもりか?」

「ええ、まあ、ちょっと遊びましょうよ」

バトルの先輩として、後輩のガーディやピカチュウに恥ずかしくない戦いをさせてあげないと。ロケット団が繰り出したポケモンから目を離さないまま、ボールに手を伸ばし開閉スイッチに指を触れた。


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