空から見下ろす雪山はとても綺麗だったが、とても寒かった。毛布にくるまっているとはいえ、風を切って飛ぶのだから雪山を歩くよりも寒い。リザードンの暖かい体にしがみつき暖をとっていると後ろからわずかに笑い声が聞こえたが、それどころではなかった。
目をつぶって耐えていると、雪山を過ぎたのかだんだんと暖かくなってきた。目を開けて下を見下ろすと、チャンピオンロードに続く道なのだろうかトレーナーがたくさんいる。戦っている人もいれば道の端にいる人もいるが、それらはすべて小人のように小さな生き物に見えた。
なんて面白い光景なのだろうか。落ちないように気を付けながらもその光景を眺めていると、後ろから肩を叩かれた。振り向くこともできずじっとしていると、わずかに身を乗り出したレッドさんが耳元でしゃべる。

「そろそろワカバタウンつくよ」

風にかき消されずに相手に話そうとすると、耳元でしゃべらなくてはいけないことはわかっているが、やはり恥ずかしいしくすぐったい。頷いて返事をすると、少しだけ気配が離れたような気がした。

ようやくついたワカバタウンは小さな町だったが、多くの自然に囲まれているのどかな町だった。地面に着地したリザードンの背中から降り、くるまっていた毛布を綺麗に畳んでレッドさんに返す。この町は暖かいため毛布は必要ないため、レッドさんも私と同じように毛布をとっていた。
いきなりリザードンに乗って現れた私たちを町人たちは興味深く見ていたが、各々やることがあるのかすぐに視線はそらされた。頑張ってくれたリザードンを労るために頭を撫でると、そっぽを向かれたが手は振り払われなかったので安堵する。もしこれで振り払われたらショックが大きすぎる。

「おつかれ、リザードン」

レッドさんがリザードンに声をかけてからモンスターボールに戻した。そしてウツギ博士にパソコンを借りようという話になり、研究所に向かうことにした。ウツギ博士とはオーキド博士繋がりで知り合いらしいので、すぐに借りられるだろうと言っていた。
その言葉通り、研究所につくと快くパソコンを借りることができた。レッドさんがパソコンでオーキド博士と連絡を取っている間、ぼんやりと待っていたらウツギ博士に声をかけられた。

「君もトレーナーだよね?」

「あ、はい。そうです」

「ちょっと見てもらいたいものがあるんだけど、いいかな?」

かまわない、と返事をすると三つのボールが並べられている機械まで誘導される。ボールのなかを覗くと、御三家と呼ばれるあの三匹のポケモンがいた。どのポケモンも元気がよく、外に出たそうにしている。

「元気な子たちですね」

「よかった、旅に出ている人からもそう思ってもらえるならなによりだよ。ポケモンを預かったりしている間でも元気でいてもらわなきゃだからね」

なるほど。ポケモンはボールの外と中で様子が変わってくるから、博士はボールの中でも居心地がいいかどうかを知りたかったのか。最近のモンスターボールの発展は素晴らしいと語り始めた博士の言葉に耳を傾けていると、オーキド博士と連絡を取り終えたらしいレッドさんに肩を叩かれた。
熱中して話してしまったことを詫びる博士に気にしないでと声をかけ、お礼を言ってから研究所をあとにする。レッドさんの手には、七個目のボールが握られていた。

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