―ガラッ―

玄関の戸を開けて二人は家に入る。


「冬は日が暮れるの早いですね。真っ暗で寒かったぁ」

新八が肩を縮こませて身震いした。

「ん?あれ?何で家ん中暖かいんですか?」

新八が不思議そうに銀時を見る。


「あ、俺ストーブもこたつもつけっぱだったわ」

銀時がポンッと手を叩いた。


「はぁあ!?馬鹿ですかアンタ!火事になったらどーすんですか!」

こえーよ!と怒りながら新八は居間へ入る。


が、その手を銀時は掴んだ。


「銀…さん?」

新八は困惑して揺れる瞳で銀時を見上げる。


「新八帰る時からずっと怒ってばっかだなー」

見透かすような視線でふざけたように言われ、新八は何と言っていいかわからずに口を開きかけて閉じ、下を向いた。


(だって二人きりなんてどうしたらいいかわからないんだよ!ずっとずっと意識してたんだ)


「…別に怒ってませんけど。ご飯用意しますから」

新八は銀時を見ないように視線を逸らしながら台所へと行こうとした。


けれど、銀時から強く手を引かれ、それは叶わなくて。


「銀…!!!!」


一瞬何が起こったのかわからなかった。


目の前が銀さんでいっぱいになって。

唇に今まで感じたことのない感触。

柔らかくて、熱い。


離れたと思ったら角度を変えてもう一度触れた。


気持ちいい…、

って!


これってキス…!


「なななななにしてんですかぁあ!」


真っ赤になって銀時を突き飛ばす。


「何ってちっすだよ。新ちゃんがあんまり期待してるから可愛くてついつい」


「期待してねェェエ!近寄んな変態!」


へらりと笑っている銀時を殴り倒して新八はドスドスと台所へ向かった。



そんな新八を見て、銀時ふっと笑い、

「新八のファーストキッスゲット!」

叫ぶと、新八は真っ赤な顔で振り返り、バカ!と叫ぶ。



ああ、これから楽しい日々になりそうだと銀時は密かに思うのだった。



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初キスさせたかったわけじゃなかったんですけど…新ちゃんがかなり意識していたと見られます。
文ではわかんないですが。

何故こうなったんだろ?

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