【秘めた想い】

利吉くんが私を見つめる瞳。

凛としていて瑞々しくて、澄んでいる。

薄い透明な膜がきらきらと輝いていて、美しい。

それよりなにより、熱い視線にこころがざわめく。

真っ直ぐ射抜くような視線。

きっといつも私の心を探っているのだろう。

自分が愛されているのかとか、私の一挙一動を分析しているのかも。


そんなこと、しなくてもいいのに。

私の心は、君のものなのに。

どうも私の態度は利吉くんからしてみれば、皆と変わらないようにみえるらしい。


「利吉くん」

部屋の隅で、私の仕事が終わるのを正座して待っていた利吉に声をかける。


「は、はい」

急に声をかけられ、利吉は驚いたのか少し声が掠れた。


半助がおいでおいでと手招きをする。

利吉はぱっと目が輝いて、静かに傍に寄ってきた。


陽が傾いていて、部屋は薄暗くなっている。

利吉の肌は白く、暗くなった部屋にふわりと浮き出ていた。

さらり、半助は利吉の頬を撫でる。

一瞬ぴくりとした利吉だったが、心地よさそうに半助の手の感触を確かめた。

「同じ男とは思えないくらい、綺麗な肌だなあ・・・」

半助は愛おしそうに利吉の頬を撫で続ける。

利吉は恥ずかしそうに伏し目がちに視線を逸らす。

その仕草が可愛らしくて、口元を弛ませた。


頬の手を、そっと唇に置く。

利吉は逸らしていた瞳を半助に合わせた。

それを合図に、半助は利吉に唇を寄せる。

音も立てず、唇を数回角度を変えて合わせた。

そして、利吉の口が薄く開くと半助が舌を滑り込ませる。


利吉の瞼は震えて泣きそうだ。

口付けに泣きそうというよりも、きっとこの子は違う事を考えて一人感傷に浸っているのだ。

利吉くんの過酷な仕事。

その事を想うと胸を掻き毟りたくなるほど苦しいこと、君は知らないと思う。


口付けの途中で、すっと半助が唇を離した。

利吉は驚いたような、悲しいような表情をして半助をみる。


「私は君が好きだ」

そう言ったら、利吉の涙線が緩んだらしくみるみるうちに目に水分が溢れてそして流れ出た。

「土井先せ…っ、」

利吉が話している途中で唇に人差し指を置く。


「私と居る時は、私の事だけ考えて欲しい」

そう利吉に囁くと、利吉はびくりとして、そして耐えられないというように半助の胸に顔を埋める。


まだ十八。

彼は完璧であるが、それ故に感情の蓋を開けるのが苦手なのだ。


彼に愛してると言いたい。

だけどきっと、それでは駄目だ。

彼には届かない。

まだ、届かない。


彼を抱きしめて、愛しい気持ちを吐露したいのを押し込める。



君には少しずつ、私の気持ちを伝えよう。

君は大丈夫だよ。


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うおおおお土井利になるとちょっと変わるかもっっっっ
最後らへんまで書いてタイトルを変えた



秘めた想い