例えば、俺は平仮名五文字ぷらす敬称、漢字にすればニ文字ぷらす敬称であの人を呼ぶ事が出来る。


勿論呼ぶだけなら他の誰でも出来るだろう。だが親しみと尊敬、そして愛情を持ちそれを滲ませながらあの人を呼び、尚且つそれを受け入れてもらえるのは俺一人だろう。
そう思うと、言葉にする五文字ぷらす敬称は俺には特別なものへと変化していく。唇が形を作る。空気を震動して音は伝わりあの人に届く。
「何?」って一見素っ気ないけど俺はちゃんとわかってるから問題ない。俺が呼ぶとちょっとだけ口角上がりますよね。
なんて俺だけが知ってる。






名前を呼ぶ、こんな単純な事だがそれが出来る事に俺は神に感謝した。
み、な、み、さ、わ、さん。
一文字一文字丁寧に音を吐き出す。五文字の言葉を呟くだけでなんだか生きる気力が湧いてくる。
南沢さん、南沢さん。
名前を呼ぶだけで幸せな気分になれるなんて!
それで、それで、呼ぶだけじゃなく、その人から、そう南沢さんから

「倉間」

平仮名三文字漢字にすると二文字、たったそれだけだけど俺にとって重要なそれを南沢さんの口から発っせられる。
彼の口から俺の名前が出る、それはとっても素晴らしい事じゃないか!!
そう、先程も言ったがこの何気ないやり取りだが、それを出来る事に俺は神に感謝できる。
いや、感謝するしかない。
呼び合うと言う事に喜びを感じる様に人間を造ったならば、それは一番の功労、最高の造り、俺は拍手喝采を神に贈りたい。
ありがとう神様!これからもよろしく!



あ、出来たら三文字じゃなくて四文字の方で呼ばれる様になったらもっと感謝しますけどね。
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