「おい」

革命選抜との何度めかになる練習試合も終え、片付けに入ってると声をかけられた。
こいつは確か白恋の……

「雪村だっけ?何の用だよ」
「お前南沢のなんなの?」

いきなり不躾な質問である。
しかも南沢さんの事を呼び捨てとは聞き捨てならない。
月山国光はそういうチームカラーらしいから百歩譲って見逃そう。
だが白恋はそうじゃないだろ?

「何南沢さんの事呼び捨てにしてんだよ」
「はぁ?まず俺の質問に答えろよ」

なんちゅー俺様な野郎なんだ。
南沢さんも結構自己中だが、あの人の場合は女王様っぽい。
この自己中俺様野郎に言われる通りに答えるのは癪だがまあ余裕ってものを見してやろう。

「何って後輩かつ近未来の彼氏ですが?」
「は?彼氏は俺だけど?」
「あ"?何言ってんだ先コンが」
「何だよ先コンって」
「先輩コンプレックス、略して先コン」
「はぁ?そんなんじゃねぇし」
「大泣きしたくせに何言ってやがる」
「だって吹雪先輩だもん!」
「てかお前はその先輩とイチャイチャしてろよ」

そう言うと雪村は言葉に詰まった様だ。
勝った……!とほくそ笑んでいたら雪村がすごい勢いで喋り出した。

「そう!それなんだよ吹雪先輩!!最近吹雪先輩はもちろん俺に優しいしイケメンだし相変わらずサッカー上手いんだけどさ!!」
「うわっ汚ね唾飛んでんじゃねーか!」
「吹雪先輩が最近南沢につきっきりでさみしい」
「……え、今なんつった?」
「……吹雪先輩はもちろん俺に優しいし」
「ちげーよわかってんだろベタなボケかましてんじゃねーよ」
「吹雪先輩が最近南沢さんお気に入りみたいで俺……ぐすっ」
「お、おい何泣いて……」

ぐずぐず泣き出してしまった雪村にとりあえず奴の腰に下げてあったタオルを抜き差し出す。
雪村はそれを受け取り顔に近づける。
涙を拭くのかと思ったら、チーンッと鼻を鳴らしていたので、
「あ、自分の貸さなくて良かった」と思った。

しかし吹雪さんが南沢さんを気に入ったとなればうかうかしていられない。
もしそれが恋愛感情込みの気に入りなら尚更だ。
南沢さんは年上好きだ。
悔しいが南沢さんはかなりの年上好きだ。
大人であればあるほど南沢さんは惚れる。
好みは大人としてちゃんとしてる人、らしい。
それなのにお前といいなんで俺に惚れるのは年下ばっかなんだ、と前に嘆かれた。
その時は流石にちょっと傷心した。

って、自分の世界に入ってる場合じゃない。
どうにか対策を考えないと。
いざとなれば雪村ともその場は手を組もう。多分神童も協力してくれる筈だ。

「あ、南沢」
「お前なぁ……俺も月山国光で慣れちゃってるけど、一応俺先輩だからな?」

そう言いながらやってくる南沢さんに思わず緊張して身体が固まる。
あれ、今の話し聞いてました?

「確かに最近吹雪さんとよく話すけど……別に技をもっと強めるためのアドバイスしてもらってるだけだからな」

そう言う南沢さんにホッと肩を撫で下ろす。
とりあえず南沢さん側からの矢印は無い様だ。

「じゃあ誰が好きなんだ?」

そうあっさり聞く雪村に先ほど撫で下ろした肩を跳ね上げ驚く。

「なっおま、何いきなり聞いて……こ、心の準備が……!!」
「いや、だって気になるだろ」
「そりゃなるけどだからって……!」
「で?」

「んーー」

南沢さんが人差し指を自分の唇にあてながら考える。
あ、その仕草かわいい。かわいいのにエロい。

暫く経って形の良い唇が開かれる。
俺も雪村も思わず生唾を飲んだ。


「俺が好きなのはー・・」


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