R-15くらい?





偶々、偶然の事だった。
部室で俺と神童が二人っきりになった事は。
俺はいつも一緒に帰る浜野と速水が別の用事でいなくて、神童の方もいつも一緒にいる霧野がいなかった。
俺が鍵当番で神童は部誌を記入するために残っていた。

「悪いな、あと少しで書き終わる」
「ああ、いいよ。特に用事もねぇし」

はじめはそんな当たり障りの無い会話をしてた、と思う。
そもそも同じ学年で同じ部活という事で関わりは無いとは言えないが、二人っきりで話す事はあまり無い。
間に浜野なり霧野なり入っての会話が主だ。

そんな感じだったから、本当にサッカー以外の会話の種があるとは思えなかった。
……思えなかった、のだが。




「……おい、神童今なんて」
思わず睨みつけるように神童を見る。
神童は少しだけ潤んだ目をしている。ほんのりと頬が赤い。
ここだけ切り取ると神童が俺に告白したみたいだ。
だがそれは違うと心から言わせてもらおう。
いや、それよりも俺にとって重大な事を神童は口にした。

「だから俺童貞じゃないんだ」

……落ち着こう。
ちょっと落ち着いて少し前を思い出して何故神童から童貞か否かの言葉が飛び出したのか考えようじゃないか。
まあ、俺が「神童とかキスした事もなさそうだよなー」って言ったからなんだけどな!
ちなみに俺も無い。

「あ……相手は誰だよ?いや、言いたくないなら言わなくてもいいけどよ」
まさか霧野じゃねーよなという言葉は胸に閉まっておいた。
神童はまるでその時の体験を思い出してる様に蒸気した頬に口角を上げながら話す。


「南沢さんだ」


「あれはいつだったかな。
雨の日で今日みたいに俺が部誌を書いてたんだ。
鍵当番は別の誰かの筈だったんだが、南沢さんがその誰かと鍵当番を代わったらしい。
何故かはその時はわからなかったが、まあその方が都合が良かったからだろうな。
ともかく南沢さんと二人っきりになった。
俺が部誌を書き終わると同時に南沢さんが俺にキスをしてきた。
時が止まったみたいだった。この時は軽い唇に触れるだけだった。
南沢さんがどうする?と唇を動かした。少しだけ濡れたあの人の唇に俺は多分欲情した。
今度は俺から唇を寄せた。
長い、舌までいれたディープキスだ。
無我夢中に貪りながら味わった南沢さんの口内はなんとも言えない熱があった。そのまま俺は南沢さんをソファーに押し倒した。
戸惑いながらもしどろもどろ進める俺に生理的な涙を浮かべた南沢さんが手解きをしてくれた。
指を動かす度に反応する南沢さんはたまらなく可愛くて扇情的で堪らなかった」


熱に浮いた様に話す神童に俺はただ黙って聞くしかなかった。








夜、俺は椅子に腰掛けズボンから自身を取り出していた。
頼んで無いのに詳細に語った神童の体験を自分に置き換えていた。
自分にキスをしてくる南沢さんを押し倒し、そのまま……。
赤く染まった頬を生理的な涙が伝う南沢さんの中につっこむところまで行き、そうして俺は現実では手の中に吐き出した。
自慰後の開放感や怠惰に感じるダルさにのろのろティッシュを手に取り片す。
全て終わった後に俺は襲う遣る瀬無さに盛大に溜息を吐いた。
「何やってるんだ俺は……」
頭を抱えていると携帯がバイブを鳴らす。
メールが今まさにオカズにしていた南沢さんだったので思わず正座になる。
開くと「今から会えないか?」とだけの短い内容。
どうするか迷っていると今度は電話をかけてきた。
「ーーっ、もしもし?!」
「……あ、倉間?」









「ちゅーかセックスってそんな気持ちいーのかな?」
「こっちに振らないでくださいよ……」
「俺知ってるけど?」
「え、く、倉間くんそれ本当ですか?」
「えー嘘!?誰なの!?」
「嘘じゃねぇよ。……実はな」
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