ピンポーン。
一つ音が家の中に広がった。
ピンポンピンポーン。
鳴り続ける音に俺は漫画を読んでいた手を止め、ベッドから起き上がり玄関に向かう。
頭をかきながらサンダルをひっかけドアを開ける。
あ、そういえばいつも開けてから先輩に
「誰か確かめる前から開けるなよ。危ないだろ」
ってこんな感じに眉間に皺寄せながら言われてたっけ。
「……いらっしゃい、南沢さん」
「ったく、セールスやタチの悪い奴とかだったらどうするんだよ」
そう言いながら南沢さんは俺に手土産といってビニール袋を手渡し、靴を脱ぎ家に上がる。
律儀に「お邪魔します」とか言ってるが今日は親いませんよ、南沢さん。

「いないの?」
「二人で久々にデートらしいです。いい歳して」
「いいじゃん、いつまでもラブラブって事だろ?俺らもそうなるかもしれないし」
そうサラリという南沢さんに俺は顔が赤くなる。
しかし南沢さんはこういう「叶わない願い事程簡単に言ってしまう」という癖なのかなんなのかを知ってる俺は素直に喜べない。
南沢さんも俺も捻くれてる様なものだ。
南沢さんの「言ってみただけ」は本当にズルいと思う。
俺はでも、南沢さんが例え言ってみただけの嘘だとしても「嘘から出たまこと」にしてやりますよ。


ビニール袋の中身はコンビニのエクレアだった。
なんかのランキングのテレビで紹介されてたような。
自分の部屋に南沢さんを通し、一先ず座ってもらって俺は飲み物をとりに行く。
エクレアは甘いし、普通にお茶でいいかと母がいつも常備している麦茶を冷蔵庫から取り出す。
コップを二つ持ち部屋に戻る。
南沢さんは今日はおとなしく座って待ってた。たまにとんでもない事を彼はする。
この前なんか俺のベッドに服を乱しながら入りこんでて、その上「くらま、来て」とかいうもんだから勿論美味しくいただいた。
……つまりまあ、おとなしく座ってるって事は今日はヤル気は無いんだな。
いや、南沢さんと過ごせるだけでも俺は嬉しいですよ。


さてその後は他愛ない話をしながら二人でエクレア食べた。
あ、結構美味しい。
思ったより甘くないしな。今度自分で買ってみるか。
「……なあ、倉間」
そう考えてたら今まで半分残ったエクレアを見つめていた南沢さんが顔を上げながら俺を呼んだ。
「なんです?」
南沢さんは俺とエクレアを交互に見ながら何か言いたそうにもぞもぞ口を動かしている。
心なしか顔が赤い。これはもしかして……。
「今日親御さんいつ帰ってくるんだ?」
「日付けまたぐそうですけど」
「な、ならさ……生クリーム代わりに、エクレアプレイ…………やってみないか?」
そう言った南沢さんは顔が羞恥からなのか期待からなのか興奮からなのかそれとも全部なのか、顔がもう完璧に真っ赤だ。
「……俺を食べて?」
って首を傾げて聞く南沢さんが可愛すぎてもう、俺は







答えは勿論YESです!!
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