(家出少年と迷子少女パロ)



ー・・忘れたい事があるんだ。



ある日学校に行くと、いつも俺より早く教室に着いている三国の姿が無かった。
風邪かと思ったが、それなら連絡が俺に来るはずだ。
クラスに居た人達に適当に聞いてみたが、誰も知らないと首横に降るだけだ。
好き勝手いう周りの声に嫌気が差して思わず教室を飛び出してしまった。

そのままの勢いで街に出る。三国、昨日一緒に帰ったのに。
勝手にいなくなるなんて。
(嫌いになっちゃうぞ、三国のばか……)
三国がいない事が寂しいなんて思いたくなくて眉間に皺を寄せる。
少しだけ拗ねてみた。いつもなら拗ねる俺を困った顔して頭を撫でたりしてくれたのに、今はそれが無い。
……やっぱり寂しいかもしれない。


居ても立ってもいられなくて昨日三国と帰った道を辿る事にした。
俺より背の高い特徴的な髪型をした彼を探す高架橋の下、そこは落書きだらけで秩序は良いとは言えない。
三国がいない時は遠回りしてるから、一人でここを通るのは始めてだ。
(俺にこんな所を一人で歩かせるなんで、見つけたら殴ってやる……!)

心配したんだからな、ばか……!
って、ちょっと涙ぐみながら。




ペタペタと、知らない街を歩く。
三国を探して歩いてる内にすっかり暗くなってしまった。
もういい歳をしているのにまるで迷子の子どもの様に思わず涙ぐんでしまう。
(ああ、かっこ悪いな俺……)
涙を認識してしまうと、今まで張り詰めていた糸が切れたかの様にポロポロと涙が溢れる。
「……っ、さん、ごく……!」
お前が手を引いてくれなきゃ、困るんだから。
「早く、会いたいっ……何処にいるんだよ……」



一日が終わる。俺は街をひたすらぐるぐるまわる。
電灯に照らされた影は俺一つだけで。
そんな日々がずっと続くなんて嫌で、いっそもう忘れてしまいたい。
……忘れて?
あれ、俺なんか、忘れてる?
昨日俺は三国と別れたあとどうした?
記憶は、捏造?あいつは、三国は?

とても大事な事だけど、思い出したらいけない気がするんだ。


「でももう探し疲れたよ」


俺は無意識に避けていた場所に向かった。一つ一つ近づく三国と通った道に俺は記憶の欠片を広い集める。
一度目を背けた真実を思い出したいと願う。
そしてらついにお前を探す道の終点が見えてきた。
ー・・ああ、そうか、お前はもう。

カンカンカンと鳴り響く音、過ぎ去る轟音風の音。目の前には踏切が。
そこで俺は最後に三国に手を振って見送ったんだ。
……それが、最期になってしまった。
その日からも三国は俺の前から居なくなってそれを認めたくない俺は。
一人もういないお前を探していないお前わや探して迷子になってたんだ。

「お前の元にいきたいよ」

ふらふら、俺は踏切の中に入る。最後に三国を見た、三国が立っていた場所と同じ所に立つ。
再び鳴り響く警報音がもう戻れないと知らせていたが、後悔も何もない。

(これでいいんだ、)

(だって、三国お前を探してふらふら迷子になってかっこ悪くてさ)

二つの点滅に照らされる。向かってくる凄まじい衝撃の前波が涙を後ろに飛ばす。
この涙はきっと安堵からだ。だって俺はもうすぐこの世界からいなくなる事が出来る。
(お前のいない世界が間違いなんだから、これで……)







ハッピーエン















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