白い部屋だ。白い壁に白いカーテン。
そしておそらく自分が寝ているだろうベットもシーツからして白いのだろう。
こんなに白くては清潔感より圧迫感が勝るな、と苦笑する。
……苦笑、したつもりだ。
全体が白く、いや、もしかしたら他の色もあるのかもだが白いもやが目の前にかかっており、やはり白く見える。
夢を見ているような感覚だ。
実際夢のようなものかもしれないが。

誰かが、泣いている。
少年が、泣いている。
ただひたすら誰かの名前を呼び、こうするしか知らない赤子のようにひたすら泣いている。
誰かを、知っている。思い込みが激しいが、かわいいぼくの、
早く、早くその頭を撫でて慰めなければ。
大丈夫だよ、と言わなければ。
それなのに体は動かない。口も開く事すら出来無い。
ただ白いもやのかかった視界と、嗚咽混じりの泣き声を聞き取る聴覚だけが作動していた。

何も出来ず、ただ傍で喚き泣く少年の泣き声を聞きながら強く願う。


世界を、世界を変える力を持ったならこの状況をどうにか出来るのに!!



ただ、ただそれだけの事で一人の人間は世界を掌握する事を願った。
幸か不幸かその願いは叶えられてしまったのだった。

数人の、少年少女の世界を変えるだけの。
だが当人達にすれば何よりも重大な力を。






愛されたかった少年の前に、
二人きりになりたかった少年の前に、
見ていたかった少女の前に、
ただ幼かった少年の前に、




白い肌をした優男が現れ笑う。


白い肌をした優男は笑う。




「君の世界を、変えてみないか?」
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