先程よりも、騒ぐ声が大きくなった気かした。
顔を上げると、どこか誇らしげな勇様の顔が目に入った―…


きっと、後悔はしていないのだろう…。
私は、局長として過ごした勇様を知らない。でも、誰よりも隊士に慕われた局長だっただろう…。何故かそんな気がした。




ふと、顔を上げた彼と目が合う。すると、彼は悪戯が成功した子供のような顔をして拳を突き上げた。

そんな彼を見ると不思議と自分も拳を突き上げていた。


夢だった武士になれた―…

欲を言えば、生きたかっただろう。でも、一番に願っていたことは叶った…。

だから、彼は笑ったのだ。

最後は、武士として認められた切腹ではなく、斬首だった。
けれど、彼はまぎれもなく武士だったのだ…。