人が集まり、がやがやと騒ぐ声が聞こえる。これから、私の夫…近藤勇が斬首される。


理不尽なことだと思った。
御上の為―…と命をかけて戦い続けた彼を殺してしまおうと言うのだから。
幕府が大きく揺れ、日の本が大きく変わったとはいえ、あまりに酷い…。ずっと思っていた。
そんなことを言うと、勇様は怒るだろうか―…




夫婦になってから、あまり日のたたないうちに、勇様は京に上った。武士になる最後の機会だと言って……。

だから、勇様と過ごしたのはほんのわずかだった。


でも、勇様は誰よりも私を理解してくれる夫だった。どんな時でも、信じてくれた。小さな小さな私の言葉にも応えてくれた。






いつの間にか、私はそんな彼のことを心から慕っていた―…。