〜その星の名は、ポラリス〜

課外授業の一環で連れてこられた、プラネ
タリウム観測。居眠りをする者が続出する 中、東方は黙ってドームを見上げていた。

係員の話を聞けば、北の一点星は二等星だ と言う。スピカやオリオン、数ある一等星 の中にその星は存在するのだそうだ。道に 迷えば空を見よ、北の一点星が己の歩むべ き道へと案内してくれるだろう。完全不動 の星、北極星。この星は誰かに似ている。

(…あぁ、誰だっけ)

ドームを出て直ぐの所で、東方はふと振り 返った。最後尾から少し離れた辺り、見慣 れたとも言える銀髪が太陽の日射しによっ て輝いている。持ち主も視線に気付いたの か、東方の姿を確認するなり寄ってきた。

「亜久津、来てたのか」
「…は、ジジィに無理矢理だよ」

全くうんざりするぜ、そう言わんばかりに 亜久津は深い溜め息を吐き出した。同時に 自由行動となり、それを合図に集団から離 れた。東方も彼の後を追って、歩き出す。

追う背中は、いつまでも近付かない。だが 視界から逸れる事もない。亜久津と東方は 一定の距離を保ち、館内全部を見て歩く。

(…あぁ、そう言えば)

北の一点星は二流品ともされる明るさを持 つ、と係員は言っていた。一等星やそれ以 上の明るさを持った星が存在する中で、天 の北極近くに位置する北極星は己自身の明 るさを保って、周りを回転する一等星に流 されず其処にただ佇んで居るのだ、とも。

その為に昔から言われているのだ。そこに は流される事のない、一つの導きが輝いて いる。迷えば空を見よ、北の一点星が己の 歩むべき道へと案内してくれるだろうと。

(そうだ、あの星は…亜久津に似ている)

何者にも捕らわれず、ただ自分を信じて歩 み続ける亜久津の姿は北極星そのもの。そ して周りを忙しく走る星は、自分達そのも の。東方はそう考えずにいられなかった。

「…何笑ってやがる」
「いや、別に何でもないよ」

待っていたらしく、亜久津は立ち止まって いた。しかし東方が距離を詰めると、お先 にとばかりに行ってしまう。それも似てい ると思った。亜久津は掴めぬ存在なんだ。

課外授業のプラネタリウム観測、とても楽 しかった。いつしか本物のプラネタリウム を見たいと東方は思った。この先に役立つ かは分からない、だが忘れもしない。天の 北極近くに位置する北の一点星、北極星。

〜その星の名は、ポラリス〜







キリリクのお礼ということで頂きました亜東です(〃^^〃)!
もう、もうたまりませんこの距離感…!!しっかりプラネタリウム見ちゃう東方が半端じゃない位萌えました\(^o^)/
あんな駄文に対してこんなに素晴らしいものを頂いてもいいのかとソワソワしてしまいました(笑)
大日方さん本当にありがとうございました!

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