「野菜各種に鶏肉・豆腐・フルーツそのたもろもろ…一日の夕食分だけで袋が五つ、ね。ウチはどれだけの大家族だい」

「最近では六人家族でも十分多いほうだとは思うが。何せ我が家は異常に食欲旺盛な子どもたちばかりだからな」

「うん、実に何か言いたげな眼差しだ。健康的でいいじゃないか」

「果たしてその一言で済ませてしまって良いものか、時々真剣に考えてしまうがな。――それよりも精算の時に気がついたが、
こちらの袋の、これは何だ? お前には必要ないだろう?」

「ん――あぁそれか。もちろん。俺じゃなくておチビちゃんに、さ」

「二本あるようだが」

「もう一本はダディの分。この前随分と身長を気にしていたからねぇ」

「…トキヤがか? 翔はともかく、あいつは特に気にする必要などないだろうに」

「まぁ、ちっぽけな男のプライドってやつさ」

「……? なんだそれは」

「わからないならそれでいいんじゃないかい。そんなことより――」

くるりとレンは体ごと背後に向き直り、自分の数歩後ろを歩いていた真斗の、三つ抱えていた袋のうちのひとつを奪った。

「おい勝手に取るな、これくらいなら持てると言っただろう」

取り返そうとする真斗の腕をひらりとかわし、またスタスタと先を行く。

「持てるからと言ってそんなにちんたら歩かれていたら日が暮れてしまうよ」

「う……」

「大体、こんな荷物をそもそも一人で持ち帰ろうと思っていただなんて、無謀にも程がある」

「…今日は、たまたまだ。冷蔵庫の食材をうっかりほとんど切らしてしまっていたからな。しかしまぁ、確かにこの荷物を全て一人でというのは流石に無理だったな。お前がいてくれて、本当に助かった」

「…………そう思うなら次からはそんなことがないよう精々気をつけるんだね」

「わかっている」

「どうだかな」

「おまえは俺をなんだと思っているんだ? ――ならばもしまた食材を切らしてしまったら今日のように買い出しに付き合ってくれ」

「…………別に構わないけれどね、俺だっていつも時間があるわけじゃあないのだから、極力そうならないようにしてくれよ」

「どうだろうな。努力はしよう」

「そーしてくれ」












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