何年前かのカルテット、夏








「そうだ!海に行こう!」

「うぜぇ」

「却下だ」

「もー! 二人とも即答すぎ! ってゆーか、ランランのそれはただの悪口だよね? レイちゃん悲しい…よよよ」

「ただでさえ暑くてうぜぇのになんでんなとこわざわざ行かなきゃなんねーんだよ」

「同感だな」

「だってだって! アイアイは高校最後の夏なんだよ? いい思い出たくさんつくりたいじゃん! ねっアイアイ」

「ボク? 別にそういうのには興味ない。夏の海なんてテレビでしか見たことないけどすごい人の数だし、率先して行きたいとはあまり思わないね」

「…お前海行ったことねーのか」

「ないよ。うちの家族はどちらかというとみんなインドア派でそういうことに興味がないから」

「えーっ! アイアイ海に行ったことないなんてもったいない! 海楽しいよ! 青い海! 白い砂浜! 灼熱の太陽!」

「…焼きそば、カレー、ラーメンもいいな」

「海は嫌いだが、海辺で食べるかき氷は格別だな。特に練乳いちごに敵うものはない」

「ちょっと二人とも食べ物のことばっかり! でもでもなんか乗り気になった感じ? レイちゃん嬉しいなぁ〜」

「行くならやっぱ沖縄だろ」

「そうだな。近場の海は汚くて風情もないもあったものではない」

「あー…2人とも乗り気になってくれたのはいいけど、なんか話が大きくなってるような? ぼくちんとてもいやーな予感がするなぁ」

「もちろん嶺二の奢りでな」

「愚問だな」

「やっぱりね! そうだと思ってたよ! てゆーか、それどこまでがぼくの奢りなの? 旅費全部とか言わないよね!? レイちゃん泣いちゃう!! アイアイなぐさめて!!」

「急に絡んでこないでよ」

「うぜぇ」

「煩いぞ嶺二」

「ひどいっ! もっと年上を敬うべき!!」

「おい、嶺二の奢りで海行くぞ。予定空けとけよ」

「えっ今の本気なの? …ボク一応受験生なんだけど」

「ったりめーだろ。男に二言はねぇ」

「貴様が行かなければ、この話は流れることになるぞ。こんな低俗なやつらと3人で沖縄旅行なんて御免だからな」

「テメェ…そりゃこっちのセリフだ」

「…それボクに拒否権はないってことだよね?」

「うわーい! みんなで沖縄旅行! 楽しみだなぁー!」








友人から


最年少に甘いおとなたち






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