42話 ずっと側に

 リングが、ザンザスの血を拒んだ――。
 確信めいた様子で呟いたツナの言葉の意味は、ザンザス本人が明らかにした。

『オレと老いぼれは、血なんて繋がっちゃいねぇ!!』

 彼自身がそう吐き捨て叫び、その場にいた全員は驚愕した。ツナや音羽たちのみならず、ベルやマーモンでさえ息を呑んでいた所を見ると、彼等も知らない事実だったのだろう。

 そして、ザンザスの出生の謎――彼の過去は、雨戦で死んだと思われていたスクアーロが語ってくれた。


 ザンザスは、生まれながらに炎を宿していた下町出身の少年。
 
 貧困による妄想に取り憑かれた母親から、『お前はボンゴレ九代目の息子だ』と教えられて育ち、幼い彼はそれを信じて疑わなかった。九代目は覚えのない存在ながらも、そんなザンザスを引き取り自分の元で育てることにする。

 そうして歳月は流れ、ザンザスは九代目の“息子”としてふてぶてしく育ち、威厳、実力ともにボンゴレの後継者として文句のない男に成長した。

 だが――いつか来る“その日”は、やはり残酷に訪れたのだ。ザンザスは知ってしまった。

 自分の母親は九代目とは何の繋がりも関わりもなかったこと。自分は、九代目の本当の息子ではなかったこと。そして。


 ボンゴレの血が流れぬ者は、後継者として認められないという破れない掟があること。


 その事実を知って絶望し、憤怒したザンザスは“揺りかご”というあのクーデターを起こすに至った……それが事の顛末だ。

 血を吐きながら全てを憎悪しているザンザスに、ツナは言った。『九代目は血も掟も関係なく、きっと誰よりザンザスを認めていた。本当の子供のように、思っていたはずだ』と。

 だが八年間、途方もない怒りを蓄積して目覚めた彼には、その言葉さえ綺麗事でしかなかったのだろう。ザンザスは「オレが欲しいのはボスの座だ!!!」と咆哮のように声を張り上げ、何度も血を吐き出しながら、それでも紅く暗い光をその瞳の中に燃やし続けていた。







「ぐおっ……ぐっ……!」

 彼の“ボンゴレのボス”への執念は、変わらずそこに宿っていた。

 けれどその執念とは相反して、血に濡れた大空のリングはついにザンザスの指からスルリと抜け落ちてしまう。――それはやはりツナの言う通り、“ボンゴレの血の流れないザンザスを、リングが拒んだ”ようにも見えた。

 怒りと憎しみで心を埋めて、なおも力を求め続けているザンザスの姿に音羽は思わず唾を飲む。

 彼の過去を聞き知っただけで、音羽には彼の気持ちまでは分からない。ただ、彼が抱いている感情は全て本物だ。でなければ、あんな状態でありながらまだ力を求めるなんて、きっと出来ない。


 遠目にザンザスを見ていると、チェルベッロの二人が座り込んだ彼の方に駆け寄って行く。

「ザンザス様! あなたにリングが適正か、協議する必要があります」

「だ……だま、れ……!」

 ザンザスは眉間に皺を深く刻んでゆらりと顔を上げ、激しく怒鳴った。

「叶わねぇなら道連れだ!! どいつもぶっ殺してやる!!!」

「ザンザス様……!」

「大賛成だ、ボス! やろーぜ!」

「当初の予定通りだよ」

 チェルベッロは困惑した声で彼を呼んだが、その間に割り込むように素早くベルとマーモンが立ちはだかる。

「…………」

「!」

 あの二人が戦闘態勢に入ったのを見て、側にいた雲雀がゆっくりと立ち上がった。

 ――雲雀さん……。

 今までずっと抑え続けていたのだろう。雲雀の身体から純粋な殺意が一瞬で噴き出すのが分かり、音羽は彼が戦う気なのだと悟る。


 ――さっき、ザンザスに無理やり引き出され奪われた音羽の力は、とても大きい。でも、今はへこたれている場合じゃない……!

 リングの適正を疑われているザンザスは、例え全てのボンゴレリングを手に入れていたとしても、この戦いでの勝者にはならないはずだ。

 そしてザンザスがそれでも無理に勝利を求めて戦うというのなら……、この戦いに勝てられさえすれば、ツナの継承は認められるはずである。

 つまり、雲雀の側にいられるチャンスは、完全に潰えた訳じゃない。

「……ぅ、っ」

 それを思うと不思議と身体の底から力が湧いてきて、音羽はその場に立ち上がった。
 雲雀の隣に並んで前を見据えると――ドン!!!と激しい爆発音。思わず目を細めると、ベルたちの視界を遮るように辺りに煙が充満する。

「どこまで腐ってやがる! やらせるかよ!!」
 
 そう言ってベルたちの前に飛び出したのはダイナマイトを持った獄寺と、山本、了平、クロームだ。獄寺と山本は雲雀と同じく既に怪我が治っているようで、さっきよりも動きが俊敏だった。

 雲雀もトンファーを構え、ベルの方に歩き出す。

「言ったはずだよ。君だけは生かしておかない」

「ししし、怪我治ってやんの。でも、三人程度全快した所で痛くも痒くもないし」

「てめー見えてねーのか? 二対六だ!! 分が悪ぃのはそっちだぜ!」

 獄寺が怪訝な顔で叫んだ。

「二対六? 何のことだい? 君たちの相手は、この何十倍もの戦力だ」

「「「!?」」」

「総勢五十名の生え抜きのヴァリアー隊が、まもなくここに到着するのさ!」

「! 何を言っている!!」

 勢いづいて言うマーモンに、了平が声を上げた。マーモンは驚きを隠せないこちら側の様子に、どこか満足に言葉を続ける。

「ボスは勝利後、連中に関わりのある全ての者を片付ける要員を日本に呼んでおいたのさ。僕ら幹部クラスの次に、戦闘力の高い精鋭をね」

「! お、お待ちください! 対戦中の外部からの干渉を認める訳には……」

「ん? 知らねーよ」

「「「――!!」」」

 横から制止しようとしたチェルベッロの一人を、ベルは振り返って――冷え切った声で言いながらナイフを振るった。次の瞬間彼女の首筋からは血が噴き出し、その身体はそのまま地面に崩れ落ちる。

 頸動脈をピタリと狙った一撃で、彼女の身体は動かなくなってしまった。即死だ。

「……っ……」

 ――まさか、本当に人を殺すなんて……!

 音羽は唇を噛みしめる。

 ベルたちは本気だ。
 五十人のヴァリアー隊がここに向かっているという話も、恐らく真実だろう。彼等はここにいる人間を、一人残らず始末しようとしている――。

 目の前で見た殺人の光景に、恐怖が背筋に纏わりついた。握りしめていた冷たい手がカタカタと震えだす。

 それを押さえるように両手を重ねて握っていると、モニターから観覧席にいる皆の声が聞こえてきた。

 
『とうとうやりやがった』

『そっちがそのつもりなら、オレたちがツナ側で応戦するぜ! ここから出せ、コラ!!』

『この場合、文句はないはずだ!』

『拙者も戦います!』

 シャマル、コロネロ、ディーノ、バジルが口々にそう言って、モニターに彼等の姿が映し出される。皆それぞれ武器を手に取り、応戦の構えを見せていた。

「……分かりました。それではヴァリアー側を失格とし、観覧席の赤外線を解除します」

 チェルベッロの残った一人は、リモコンを取り出してボタンを押す。

『行くぜ、コラ!!』

『――待て。……解除されてねーぞ』

 今にも飛び出そうとするコロネロを引き留めたのは、リボーンだ。すると、その声を聞いていたマーモンが嘲笑う。

「ふん、甘いよ。細工しておいたのさ。あいつらはまとめて、檻の中で消す予定だからね」

『!! なっ……!』

『退け! ぶち破る!』

「無駄です! 内部からの攻撃でも、爆発する仕組みになっているのです!」

『何!?』

 赤外線の檻に銃を向けるコロネロを、チェルベッロが声を張って止めた。

 止むを得ず銃を下ろすコロネロに、その場から動くことが出来ない観覧席の頼もしい面々。――これで、“五十二対六”、という余りにも恐ろしい戦力差が決定的なものとなってしまった。


「くっそっ!! こうなりゃオレたちだけでやるしかねえ!!」

「――え……? 誰か、来る……?」

「?」

 獄寺が決意を込めた様子でダイナマイトを構え直したとき、クロームが小さく呟いた。音羽が振り返れば、彼女は自身の耳に手を当てて“何かの声”を懸命に聞いている。

「――おい!」
「あれは……!」

「……!」

 どうしたのだろうと考える前に、獄寺と了平が声を上げて後ろを振り返ったので、音羽も慌ててその視線を追った。


 すると――タン、とグラウンドに降り立つ三つの影。

 ヴァリアーと同じ漆黒の隊服を纏った彼等は……マーモンの言っていた、精鋭の殺し屋だ。ついに来てしまった、しかも、まだあと四十七人いる。

 現れたその姿に音羽は冷や汗をかき、ベルは口の端を吊り上げていた。

「ナイスタイミーング。待ってたぜ」

「――っ報告、します……、我々以外のヴァリアー隊、全滅!!!」

「!!」

 突如三人の精鋭の顔から血の気が引いたと思ったら、男一人を除いて皆地面にドサッと倒れ込んでしまった。

 音羽たちもベルたちも訳の分からない事態だ、全員が唖然として男を見ている。青白い顔をした精鋭の男は、息も絶え絶えに続けた。

「奴は強すぎます……!! 鬼神の如き男が、こちらに向かって――」

 男が掠れた声で言いかけたとき。


 風を巻き上げるような轟音が、辺りに響いた。かと思えば、現れた大きな鉄球。それは精鋭の男を真っ直ぐ狙って、彼の身体をそのまま勢いよく跳ね飛ばす。

「暴蛇烈覇!!!!」

「「!!」」

 轟々と鳴る風の音に混じった、力強い男性の声。聞き覚えのあるそれに、音羽と、そしてツナも目を見開いていた。







 ――ドシャッ!!!

 鉄球に投げ飛ばされた男の身体は、激しい土埃を上げながら地面に落ちた。風は未だ吹き止まず、辺りには砂塵が渦巻いている。……その中に、長身の人影が静かに佇んでいた。

「あの人、ずっと骸様が話しかけてた……」

「や、奴は……」

「……」

 クロームと獄寺の声を遠くに聞きながら、音羽は砂の向こうに目を凝らす。その大きな重々しい鉄球には、見覚えがあった。
 ――あのとき……黒曜ランドに行ったあのとき、音羽も自分の目で見た物だ。

 『ダメだ、ここに来てはいけない!! 骸は、お前を狙っている!!』。
 そう言ってくれた言葉が朧げに脳裏に蘇ったとき、風の向こうから低い声が流れてきた。

「取り違えるなよ、ボンゴレ。オレはお前を助けに来たのではない。――礼を言いに来た」

「! ランチアさん!!」
「!」

 ツナが声を上げると同時に砂煙が晴れ、影の――ランチアの姿を露わにする。間違いない、音羽が思い描いていた通り、黒曜ランドで一度だけ会った彼だ。


「ランチア……? あのランチアが、なぜ……」

「あいつ、何者? ししっ、まあいいや。そんじゃ――とっとと済まそっと♪」

 マーモンたちはランチアの登場に一瞬眉を顰めたが、ベルは言うが早いかナイフを構える。ベルの視線の先にいるのは、地面に手をついたまま動けないツナだ。

「! 沢田君……!」

「おっと、そうはいかねーぜ!」
「山本!!」

 音羽が思わず声を上げると、刀を構えた山本がツナの前に滑り込み、飛んできたナイフを全て弾き返した。
 ほっと息を付いたら、隣にいた雲雀が間を置かずにトンファーの仕込み玉鎖を出して、ベルの方に歩いて行く。

「ねえ……そろそろ決着、つけようよ」

「――っ」

 殺気の籠った笑みを浮かべる雲雀に、ベルは顔を引き攣らせて辺りを見回していた。

 マーモンも既にクロームの幻術に捕まり、完全なる多勢に無勢の状態だ。応援がない以上、彼等にはもう逃れる術も打つ手もない。


 状況を見たベルは持っていたナイフを捨てて、諦めたように両手を上げた。

「ダメだこりゃ」

「ム……ボス、ここまでのようだ……」

「……役立たずの、カス共が……。くそ……ちくしょう!」

 二人の言葉を聞いて、その後ろで仰向けに倒れていたザンザスが微かに動く。

「てめーら全員!! 呪い殺してやる!!! ――ぐはっ!」

 感情の昂りに併せてカッと目を見開き叫んだ彼は、その勢いでまた血を吐いた。

 “諦める”など、きっと彼にはあり得ないのだ。

 それがありありと伝わってくるからこそ、誰も、何も言うことが出来ない。皆は複雑な、神妙な面持ちで、ザンザスのその様子を見つめていた。


 そんな中、チェルベッロだけがザンザスの元に向かって、その側に膝をつく。

「――ザンザス様。あなたを失格とし、ボンゴレリングを没収します」

「チェル、ベッロ……。お前、たちの……望み通りだ……。予言が当たり……満足か、」

「お言葉ですが……これは我々の望みでも、予言でもありません。全ては決まっていたこと。あなたは役割を終えたのです」

「……タヌキ……が……」

 ザンザスは感情の読めない彼女を睨み付け、掠れた声で呟くと、ゆっくりと静かに目を閉じた。







「――お疲れ様でした。それではリング争奪戦を終了し、全ての結果を発表します」

 立ち上がったチェルベッロの声が、マイクを通して校庭に響く。

「ザンザス様の失格により、大空戦の勝者は……沢田綱吉氏――よって、ボンゴレの次期後継者となるのは沢田綱吉氏と、その守護者七名です」

「!!」

 その言葉に、音羽はつい目を瞠る。

 次期後継者は、ツナ――。それはつまり、音羽のヴァリアー行きは完全になくなったということだ。


 顔を上げると、小さく息を付いていた雲雀と目が合う。

 もう、彼と離れ離れになる心配はない。ずっと、雲雀の側にいることが出来る――。

「っ……雲雀さんっ……!」

 彼の瞳を見たら、嘘みたいなその“本当”が胸に沁み込んできて目に涙が浮かんだ。急に訪れた安堵のせいか、力が抜けてしまいそうだ。音羽は雲雀の腕をそっと掴む。

「何泣いてるの? 音羽。こうなる事は分かってたでしょ」

「っ……」

 ぶっきら棒な物言いで、けれど細められた瞳はどこまでも優しくて。
 
「君が僕の側にいるのは当然のことだ」

「……っ、はい……っ!」

 音羽の目尻から流れた涙を指先で柔らかく拭ってくれる雲雀は、穏やかに微笑んだ。彼のその表情に、音羽も眉尻を下げながら笑って大きく頷く。


 もう、本当に終わったんだ。リングを賭けた戦いも、どっち付かずだった自分の立場も。――不安も心配も、もう何もない。

 彼のぬくもりに触れたらその実感が湧いてきて、音羽は撫でてくれる雲雀の手に頬を寄せた。その温かさに、つい瞼を下ろしたくなったときだ。


「――おい、音羽、雲雀。取込み中悪ぃな」

「!! リボーン君……!」

 不意に足元から声がして、音羽はびくっと跳ね上がった。慌てて視線を落とすと、リボーンがニッと笑みを浮かべてこちらを見上げている。

 見られていたんだ、恥ずかしい……。たちまちほっぺたが熱くなるのを感じていると、雲雀が普段と変わらない声で尋ねた。

「何だい、赤ん坊」

「少し頼みがあって来たんだ。雲雀、音羽をちょっとの間借りても良いか?」

 今度はリボーンが問いかけると、雲雀は真意を探るようにリボーンを見つめる。けれどややって、雲雀はゆっくり頷いた。

「……いいよ。妙なことさせないならね」

「そうか、助かるぞ。そんじゃ、音羽。お前に一つ頼みてーことがあるんだ」

「? 頼みたいこと……?」

 今度は音羽の方を真っ直ぐ見上げてくるリボーンに、思わず首を傾けた。屈んでつぶらな黒い瞳と視線の高さを合わせると、彼は「ああ」、と頷く。

「ツナの奴、あちこち怪我だらけでへばっちまってんだ。了平やクローム、ランボも、ちっとばかり怪我してやがる。だから、お前の力を使ってやってくんねーか?」

「!」

 リボーンに言われて、音羽は顔を上げて皆の方を見た。


 観覧席にいた皆もグラウンドに集まって、守護者と一緒にツナを囲んでいる。皆嬉しそうだったり、心配そうだったり……でも、最後には笑顔になって話していた。――考える間でもない、音羽はすぐにリボーンに視線を戻す。

「もちろん! 私に出来ることなら、させて欲しい……!」

 音羽が皆のために出来ることは、元々それくらいしかない。

 このリング争奪戦ではそれらしい力になれなかった音羽にとって、リボーンの提案は寧ろ嬉しいくらいのものだった。だからすぐに立ち上がった、のだけれど。

「君、大丈夫なの? 倒れられたら迷惑だよ」

 後ろから雲雀に低く声を掛けられて、音羽は彼を振り返った。

 淡々とした言葉とは裏腹に、彼の瞳は心配そうに揺れている。彼が音羽の体調を気遣ってくれているのは、一目瞭然だった。


 目に見えるだけじゃない、耳で聞こえるだけじゃない。

 雲雀の想いは、いつもすぐには見つけられない場所に隠された宝物のようで、けれどそれは音羽にとって、常に果てなく優しいものなのだ。

 そんな雲雀が大好きだと、音羽は心の底から想う。だから自然と、満面の笑みが零れていた。

「大丈夫です! 今、すごく嬉しいから!」

「!」

 言うと、雲雀は驚いたように目を瞠って、けれどそれ以上の言葉を重ねることはなかった。それを承諾と受け止めて、音羽はツナたちのいる方に向けて走り出す。



 雲雀は小さくなっていく音羽の背を見送って――、それからゆっくりと目を細めた。

 自分が守りたかったものは、間違いなく守り抜くことができた。その証拠を、この目で確かめることができたのだから。

 音羽は、普段なら自分がとっくに咬み殺しているであろう草食動物たちの群れに近付くと、足を止めて祈るように両手を握り合わせた。そうすれば彼女の身体から温かい色の光が溢れ、そこにいる全員を柔らかく包んでいく。



 リボーンは、雲雀の足元で同じように音羽の様子を見守りながら、ふ、と小さく笑みを浮かべた。

 ――天の守護者の使命。
 それは、『ファミリーの身を光で守り、癒す、慈愛の(そら)』。

 体育館で見せた音羽の力は、間違いなくその使命を体現していた。

「やっぱり、オレの目に狂いはなかったな」

 リボーンのその呟きは、雲雀だけが聞いていた。が、光が収まり、音羽に群れ始めた人間たちに雲雀がトンファーを構えたのは、その五秒後のことである。


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