*青崎×赤林
青崎さんが別人
「青崎さん、アンタの手はいつだって温かい」
まさか欲情してんじゃないだろうね?と見るからに高そうな指輪を嵌めた手が誘うように青崎の指に絡まった。
「ほら、」
青崎の腰の上に乗った赤林はケラケラと笑い、もつれた指の間から手の甲を撫でる。いつも掛けているサングラスを机の上に置いているため、素の彼に見下ろされて熱のこもった熱い視線とかち合った。
「ンなわけあるか…欲情してんのはてめぇの方だろ赤林、発情期みたいに腰振りやがって」
「はは、だって青崎さん下手なんだもの。自分で動かないと全然気持ち良くなれない。女だってまともに抱いたことないんだろう?」
「馬鹿言え」
悪態をつく赤林に大きくため息をついた青崎は、横に投げられた煙草を広い上げた。ゴツいジッポに手をかけた瞬間赤林の手によって唇に挟んでいた煙草が素早く掠めとられる。
「あ、てめ…」
「なんだい青崎さん、こんなお菓子みたいなやつ吸ってんのかい?」
奪い去った煙草にすぐさま火を付けた赤林は、吸い込んだ煙をふうと青崎の顔に吹き付ける。瞬間部屋中に甘い香りが広がって、そういえばお前さんは甘党だったね、と人を小馬鹿にした態度で赤林は言った。
「…ほっとけ」
「はは、からかいがいのある人だねぇ」
手持ち無沙汰になった右手にまた新たな煙草を挟んで今度こそ火をつける。部屋の中の2つの紫煙に赤林は笑った。
「…で、いつまで入れてんだ?」
しかめ顔の青崎が未だ繋がったままの下半身を指して言うと、視線だけ動かした赤林に意識的に後ろを締め付けられた。萎えたとはいえ、熱くとろけた内壁に自身を圧迫され青崎は小さく息を詰める。「これで終わりのつもりかい?」
「…チッ……まだ盛ってんのかよ」
舌打ちまじりに口に出す。今火を点けたばかりの長い煙草を一瞥して、吸いかけのそれを灰皿に擦りつけた。
「そんなこと言って、青崎さんだってもう大きくしてるじゃないか。なら、あともう一回ぐらいいけるだろう?」
ずいっと腰を進め、積極的に事を進める赤林に青崎はなすがままに身を預けることになる。これではどちらがタチなのかネコなのかわかったものではないと、せめてもの抵抗に前触れなく中を突いてやった。ぐちゅっと粘着質な音が腹の上で鳴るのが聞こえる。
「ん…っ、青崎さんは本当に下手だねぇ。気持ちいいのはそこじゃなくて、もっと上って言ったじゃないか」
ほら、ここだよ、と赤林に軌道修正をさせられ、少しだけ気恥ずかしくなる。だが相手は特に気にしていないようなので無言のまま誘導された箇所を目指して突き上げた。
コリコリした感触が先端に当たっていい塩梅の刺激が自身へと伝わる。思わず目を閉じて感覚を味わうが、そのせいで一気に射精感が高まりすぐに達してしまいそうになった。
こんなだからいつも主導権を彼の元から奪えないのだ。余裕があるのはいつも相手の方でこちらは彼の手の上でいいように踊らされているだけ。経験人数なんか到底かなうはずがない。それでもなんとか赤林を屈服させたい青崎は、体を合わせるたびにどうにかして彼の弱いところを探し出そうとしているのだった。
数回焦らすようにゆっくりと動いてやると、こちらの意図に気づいたのか赤林は後ろをぎゅうぎゅう締め付けてみせる。絞りとるような動きに青崎の眉がひそめられたのを見て、赤林は満足そうに唇を歪ませた。
「俺の中は、そんなに気持ちいいかい?こんなに硬くしちゃってさぁ」
「っばか…いきなりっ、締めんな、っ」
「…ああ、案外余裕ないみたいだねぇ。言わずにおこうと思ってたんだけど、青崎さんって結構早いよねぇ」
ククっと喉の奥で笑った赤林に苛つきを覚え、今に見てろ…!と青崎は渾身の力で彼の腰を抑えつけながら力強く雄をねじ込んだ。
「っあ…!?」
「いい加減に黙ったらどうだよ赤林…その減らず口閉じさせてやろうか…っ」
「はは…っ、やれるもんなら、やってみろ、ってね…っ」
「言ったな…っ?」
一番太いカリの部分で内壁をかき回すようにぐりんと抉れば、今まで余裕だった赤林の表情が僅かに崩れる。その隙を狙って連続でガツガツ突いて余計な口を塞いでやると赤林は驚いたように目を見開いた。
唇を放し、今度は逃がさぬように目の前で色付く乳首を唇ではんで舌で押しつぶすと、途端に赤林の口からは呻き声が洩れた。
「はっ…っ、ぁっ、…」
「おい、ずいぶん良さそうな声出すじゃねぇか」
「あ、青崎さん……っ、あんたは、ほんと、負けず嫌いで意地が悪い人だ、ね」
「負けず嫌いで結構、あの赤林が俺の上で喘いでんだからな…!」
形勢逆転。今度は俺が攻める番だと、青崎は空いている方の手でもう片方の乳首を弄ってやる。ぴんと立ったそれを摘まれて、赤林は堪らないといったように腰をしならせる。しならせた事で余計に感じるスポットに体が落ち着いてしまい、しまったと赤林が思った時には時既に遅し、そのままの体勢で容赦なく突き上げられて吐息と一緒にいやらしい声が赤林から漏れ出た。
「う、んっ…、はっ…ずいぶん、頑張るじゃないか…っ、」
「まぁな…っ、舐められてばっかじゃいられねぇしよ」
「言うねぇ……っ、ぁ…あっ、」
更に追い討ちをかけるように赤林の雄を扱いてやれば、赤林はびくびくと痙攣しながら自身の先から白濁を溢れさせた。とろりと独特の青臭い匂いが青崎の鼻孔を掠め、密着した腹の上には出されたばかりの精液が生々しく光っていた。
それに続くように青崎も赤林の中に熱を吐き出して、つかの間の余韻を味わう。いい加減抜くぞと赤林に言えば、せっかちな人だね、だからこっちも早いんだよと疲弊気味の赤林に嫌みを投げられた。
やれやれと思いながら後孔から自身を取り出そうとすると、今まで上に乗っていた赤林がこちらを押し倒した。
波打つ白いシーツをさらに乱して、息も整わないうちにまだ入ったままの雄をぎゅっと締められる。いい加減にしろと言いたかったが、上からかさついた唇が被さって叶わない。
何回やれば気が済むのかと思いながらも、先ほど達したはずの我が身もじわじわと熱を取り戻していく。それを体で感じ取った赤林は一言、若いねぇと呟いて尚も後ろを収縮させた。
「若いって、てめェ…大して変わんねぇだろ、……さっきまでのは全部演技…か…っ」
「うん、まぁどうとでも好きにとってくれて構わないよ…けどね青崎さん、」
「けど、なんだよ…」
言いかけた赤林は口を三日月に歪ませ、不敵に笑う。
けど、演技じゃイけないよねぇ。
後から言葉を付け足し、愉しげに口角を上げる赤林を見て、青崎はやられた…と内心で唾を吐いた。
ああもう俺は一生こいつに叶わない気がすると、嘲う赤林を見て青崎は直感で悟った。
酔狂が笑う
粟楠会が好きすぎてついに青赤に手を出しました…!というか赤林さん受けがマイナーすぎて自給自足です
(0809)