10'1120(Sat)22:44
しゃぼん玉(空探、レキとメイ)



『しゃぼん玉』


夕方の茜色の日差しの広がる海岸線で、大小無数のしゃぼん玉がゆっくりと空を泳いでいた。


「わあ!すごい!」

ジブンの隣で、目を輝かせている相方は明らかに自分の背丈よりも高い位置にあるしゃぼん玉に手を伸ばしては、届くはずもないソレを掴もうと一生懸命になっている。

「うーん、ワタシには届かないね」

「………」

「レキなら届くんじゃないかな?」

しばしの悪戦苦闘ののち、普通なら行動に起こす前わかるであろうことをようやく把握した相方は矛先をジブンに向けたらしく、話をふってきた。

そのジブンに対して何かを求める幼女の目が何を言いたいのかは、口を開く前にだいたいわかる。


「届くけど……」


しゃぼん玉を手の中に収めたところで、次の瞬間には掌の中のそれがどうなるか……幼い子供だってわかるであろう。

無論、いかなる花畑な脳内の持ち主であるコイツだって論外ではない(と信じたい。)




「ねぇレキ、明日はきっと晴れだね!」

どこまでも上へ上へと上がっていくしゃぼん玉を、掴むことなく眺めていたらふいに隣から声が届いた。


「あー、カイオーガがきて大暴れしなければな」

「もぅ!なんでレキは素直にそうだねって言えないの!」

「生まれつき」


茜色に夜の色が混じりはじめた空のどこまでも高くを、しゃぼん玉は飛んで行った。

○月○日、晴れ
明日もきっと晴れ。




ひよこ屋さまよりお借りしました。

ぼのぼのお題より



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