計画的犯行?



 いつもベタベタしてくるお兄ちゃんに「いい加減ウザい」って言ったら泣かれた。でもあれは嘘泣きに違いない――だってお兄ちゃんだから。

 家を出たその足でクロロの所へ向かう。マチもパクも私にとっては頼れるお姉さんなのに、お兄ちゃんは私が二人と話してると二人を睨むんだよね……女同士なのに。男性としゃべってて睨むならともかく、マチとパクにまで牙をむき出しにするのには辟易する他ない。

 というわけで、今日はあのシスコンをどうするかを相談するつもりなのだ。つもりだった――んだ、けど。

 日頃の愚痴を吐きだした私に、クロロが気分転換だと言って酒盛りに誘ってきた。


「だいたいお兄ちゃんは過保護っていうかー、スキンシップ過剰すぎると思うぅ」

「へえ、どんなふうに?」


 なんだかふわふわして、気分が高揚する。クロロを見てるとついふにゃっと顔が崩れるって言うか、幸せで、とりあえず幸せ。


「んーっとね、こんな風ー」


 広いソファーのはずなのに、なんでだろ、クロロがすぐ隣に座ってる。まあいっか、近くにいるし。

 クロロの腕を引っ張れば、そのままポスンとクロロが寄りかかってくる。その頭を抱き締めて髪にちゅーしまくった。クロロの手が腰を撫でててくすぐったい。


「クロロくすぐったいよー」


 つい漏れるクスクス笑いを止められずにいれば、どんどんとクロロが体重をかけてきた。クロロとは逆側のソファーにポスンとこけた。ポスン、だって。ポスンとか、ぷぷっ!


「へえ、くすぐったいのか」


 頭を捕まえてた手を解けば、視線を合わせてきたクロロがニヤリと口の端をつり上げた。

 私の体重なんてクロロの前ではお箸みたいなもので、軽く持ち上げられたと思えばブラホックが外されてた。早業だ! 早業だ凄い!


「ねーねークロロ、なんでブラ外すの早いの? ルック早業?」

「ルック……? まあ、それだと思えば良い」


 凄い。一日で床下暖房の工事を終えちゃうのか。半端ないね!

 クロロは私のブラを上にずりあげると、服の上から私の胸にちゅーをした。


「クロロは胸にちゅーして面白いのー?」

「ん、面白いぞ」


 クロロって変なの。あ、でも胸って柔らかいから楽しいのかもしれない。男は損だね、あのぷよぷよに触れないんだから。可哀想なクロロ、ナデナデしてあげよう。


「どうした」

「クロロ可哀想だから撫でたげるよー」

「何が可哀想なんだ?」

「うんと、ぷよぷよに餓えてるとこかなぁ?」


 クロロは何かしょっぱい顔をした。テーブルの上のグラスを取ってお酒を口に含むと、そのまま私に口移ししてきた。口の中では冷たいのに、喉を走る時には熱くなる。カーッと胸が熱くなった。なんだか楽しくなってきたなぁ!

 クロロは私の脚の内側をくすぐるように撫でた。くすぐり攻撃かっそれなら応戦してやるんだからねー!

 胸に噛みついてるクロロの頭を抱えてちゅーしまくる。どーだ、恥ずかしいだろう!


「積極的だな、ユカリ」

「へ?」


 良く分らないことを言いだすクロロに、私はクロロが心配になった。頭がどっかおかしくなったのかな、クロロ大丈夫?

 クロロは体をずらすと私の腰を持ち上げ、私のお尻がクロロの太腿に乗るように体勢を変えた。ゆったり目のスカートがずれてみっともないことになった。何すんのー!?


「もー! クロロのあんぽんたーん!」


 スカートを何度も撫でつけるけど、やっぱり何度もショーツが丸見えになる。もー!


「クロロ! セクハラって言うんだよ、これぇ」


 シャツも持ち上げてずらしてくるクロロに文句をつける。胸が丸見えだよ、これじゃ。


「そのセクハラが駄目ならセックスはどうだ」


 意味分んない。どっちも一緒だよー?


「いいや、同じじゃない。セックスは同意でするものだ」

「どーいなんてしてないもん」


 むくれる私の頬を撫でながらクロロはフッと笑んだ。


「同意するだろう、ユカリ?」


 なんかいつもとはちょっと違う目のよーな気もしたけど、クロロが変なことするわけないし。甘やかしてくれる時の目をしてたから安心した。


「うん、どーいするー」


 次の日、気付けば腰が重かった。




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執筆チャットにて執筆。ルック早業は大阪(関西?)で流れた床暖房工事のCMから。
2012/04/05

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