食事中勘違いお兄さん



襲い受けヒソカ。しかし思いはさっぱり通じていない。だってお兄さんだからが最強の呪文。普段よりエロ強いよ!


















 ヒソカがおれの家に突撃してきた。仕事は忘れて過ごすと決めている土日だから遊びに来ても構わないんだが、おれはヒソカに構うよりも食べる方に忙しい。

 昨日フランクフルトの大袋が安かったから大人買いし、今日はフランクフルト祭と称して朝からずっとフランクフルトを食べている。マスタードにケチャップ、その他色々なソースで食べているから飽きない。


「美味しそうだね☆」

「うむ」


 口の中に入ったままだから頷くだけで終えた。ヒソカが何故かおれをぎらぎらとした目で見つめてくるが原因が分らないからとりあえず放置しておこう……殺気ではないようだし。視線が熱っぽいのは風邪か?


「ねぇ、フランクフルトはおいしいかい?」

「――まぁな。お前も食べるか?」


 三分の一程残ったそれを振って訊ねれば、ウンと元気に返事をして向かい側のソファからいそいそと近寄ってきた。体格が良くもう二十を過ぎた大人だが、イルミの友達だと思うと可愛く思える。


「可愛いな」

「そうかい?」


 なんとなく持ちあげた手で頬を撫で、顎に滑らせる。狐目だが猫のような男だし、もしかしたらゴロゴロと鳴くかも――鳴かないか。鳴かないかな……。


「鳴け」


 ヒソカが目を見開いた。


「ふぅん☆ 良いよ、ならキミのフランクフルト食べさせてくれる?」


 手元のフランクフルトは残り三分の一しかないが、欲しいと言うなら仕方ない。なにせ大袋を買ったのだ、一本の三分の一くらい惜しくはない。ちょっと悲しいが。


「ほら」


 そう言って口に突っ込めばヒソカは少し目を見開いた後、ニンマリと何故か色っぽく微笑んだ。串をおれの手から奪うと、口から取り出してフランクフルトの側面を舐め上げる。一つを味わって食べる派なのか? それはそれで個人の嗜好だが、まだあるんだからそこまで貧乏くさいことをしなくても良いだろうに。


「そでだけで十分というわけではないだろう、ヒソカ」

「もちろん☆ こんなので満足できるわけないだろう?」


 ヒソカは何故かおれをソファに押し倒しながら言った。そしておれの口元を舐め始める――貧乏症だな、口元に付いた脂さえ惜しいのか。まあ、富むことも貧することも波のようなこの世界だ、ヒソカが貧しい身の上であった可能性がないわけではない。したいならさせておくか。


「辛い……☆」

「だろうな」


 激辛ソースも試してみたからな。つい二本前に食べたばかりだから口元に少し付いていてもおかしくはない。


「ねえ、辛いんだ☆ キミが治してよ」

「ふむ、そ――」


 それはどうすれば、と言いかけたおれの口にヒソカが吸いついた。驚いて硬化したおれの舌に熱い舌を絡め、ピチャリと水音を立てながら何度も角度を変えつつ唾液を送りこんでくる。舌が痺れているのか? 確かあのソースに毒は混ぜなかったはずだが、もしかすると覚えていなかっただけかもしれない。よくも毒を食わせたな、お前も飲め、というところか? なら仕方ない。毒を盛ってしまったのはおれの責任だ。

 舌の痺れがこれで取れるのかは知らないが、マッサージしてやるつもりで舌を絡ませ返す。どこを揉めば良いのか分らないからとりあえず口の中を適当に揉めば良いだろう。


「ン☆」


 ヒソカは目を閉じ、何故か酒にでも酔ったかのように頬を染める。頭を撫でてやれば縋りついてきたうえ、何故か片手でベルトを外し始めた。腹がきつい――わけはないか。何かを食べたわけでもなし。

 器用にズボンを脱ぎ棄て、ボクサーパンツ姿になったヒソカはやっとおれから口を放した。口元がフランクフルトの脂が移ったのか濡れて光っている。


「キミのフランクフルト、ボクのここにくれよ☆」


 目にもとまらぬ手付きでおれのベルトを外しズボンを寛げたヒソカは通常運転のおれに少し唇を尖らせる。


「このくらい日常茶飯事ってことかい?」

「いや」


 フランクフルトを他人にやろうと思ったことはないし、他の食べ物でもない。そういうつもりで答えたら、疑り深そうにおれを見つめ「そう」とだけ呟いた。訳が分らない。


「でも美味しそうだね☆」


 まさか、おれのヤシの木を美味しそうと言うとは――変な趣味でもあるのか、それともヒソカはカニバリズムの習慣がある土地からやってきたのか。後者かもしれない。


「美味しいものだとは思えないが……」

「食べたことあるのかい?」

「あるわけがない」


 ゾルディックにそんな習慣はない。唯一ゾルディックの敷地内で人肉を食べるのはミケくらいだし、ミケが美味しそうに食べているからと言っておれも食べたくなるかと言うとそんなわけがない。一応同じ形をした生命なのだし。


「頂きます☆」


 そんなことを考えているうちにヒソカはおれのヤシの木を食ってしまった――いや、舐めているようだ。味見? おれに食われる趣味はないから味見でも止めて欲しい。それにどうしてわざわざそこをチョイスするのか謎だ。腕とか指ならまだ分るんだが、何故そこをあえて選ぶんだ?


「ん☆」


 ぐにぐにと刺激されれば男の性、まあ仕方ない状態になった。まさかこれを試飲とか言わないだろうな。流石にそれはおれも嫌だ。ヒソカの頭を外せば不満そうに軽く睨まれた。何故だ。


「そこはもう良いだろう。舐めたいならおれの指でも舐めろ」


 目の前に手を突きだしたら嬉しそうに頬張り、指の股を舐めたり指先を甘噛みしたりしだす。両手でおれの手を持って舌先で舐めたりと楽しそうだが、何が楽しいのかおれにはさっぱり分らない。カニバリズムの習慣だろうか? おれには知る余地もないが、ヒソカが楽しいのならそれで良いのだろう。


「じゃあ――味わって食べるね☆」


 いつの間にかヒソカは体勢を変えていたらしく、おれの上に跨っていた。そしてまた、何故かパンツさえ脱いだらしく下半身裸だった。

 そしてそこからはもうあんまり覚えていない。ヒソカがまた舌を絡めて来たからそっちに集中していたからだ。

 何故か肌がつやつやしたヒソカが風呂場から出てきて「また食べさせてね☆」とか言っていたが、今度来た時もフランクフルトがあるかは分らないから「運が良ければな」と答えておいた。

 ヒソカは何故か顔をしかめていた。さっぱり分らない。








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 温度差。チャット中に執筆
11/21.2011

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