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 骸に引き取られて数週間が過ぎた頃だった。外に出る気をなくして室内にこもりトロピカルフルーツジュースを典雅にすすってた私のところに、銀髪の跳ね頭が来たのは。


「おい! ××ってのはテメーか!」


 明るいお外に比べ微妙に薄暗い室内の端っこで三角座りしてた私を探してごっくんの目がキョロキョロと部屋を探り、私を見つけて怒鳴りつけた。


「――何ですか」

「研究所から引き取られたとか言ってやがるが……オレはまだテメーを信用してねーんだからな! 行動には気をつけろよ!!」


 原作そのままの『十代目に近寄るやつは全部敵』とでも言いだしそうな態度にげんなりする。仕方なしにごっくんの顔を見上げれば――違ってるってことが分かった。あ、違う。これは拒絶じゃなくて……。


「うん」

「ああ?!」


 これは私を疑っている人間がいることを理解させるための演技。私がどこから連れられてきたのかを知る人間は守護者までで、他の幹部以下は私がどうしてここにいるのかを知らない。疑われる要素ばかりたくさんあって、それもあの味方とも敵とも言い切れない六道骸そっくりの容姿をしてる。私を疑う人間はいても信用する人間はいないに等しい中で、滅多な行動を取れないことを言外に伝えてくれたんだろう。


「分かった」


 誰が聞き耳を立てているかも分らない中、私はうなずく以外のことをしてはいけない。――ここは私にとっての敵地だから。まだ。


「チッ、分りゃイイんだよ」


 漫画の中のごっくんは本当に直情径行猪突猛進って感じで好きになれそうになかった。でも原作からもう十年近く過ぎている『今』は年月分成長してるみたい。周りにガンをつけるのはツナを守るため。いつでも緊張を忘れないためのストッパー。


「うん」


 私が受け入れてもらえるようになったら、違う顔を見せてもらえるんだろうか?――疑惑の浮かんでない笑顔とか。


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