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 爆音が響き、ボンゴレの突入が成功したことが分る。さあ、これからは一方的な殺戮――初陣である××の、これからの日々を垣間見させる前奏曲。


「××、いけますか?!」

「うん、パパン!!」


 ××が僕をパパンと呼ぶようになったのはここ数カ月。信頼されている――その思いが僕を熱くする。××が実践に慣れていることなど知っている。だが、僕は××の背中を守れる人間になりたいのだ。信用でなく信頼を、××と築きたい。

 ××が鎌を消した。何かあるのか――信じていないわけではないが焦る。無手で? まさか。××はあの鳥頭と槍術で修行したと聞いているし生目でも見た。なら他の術を使うのだろうか……。××が朗々と唱えた言葉と、それにより広がる世界に鳥肌が立った。


「I am the bone of my sword.(体は剣で出来ている)

Steel is my body,and fire is my blood.(血潮は鉄で 心は硝子)

I have created over a thousand blades.(幾たびの戦場を越えて不敗)

Unknown to Death.(ただの一度も敗走はなく)

Nor known to Life.(ただの一度も理解されない)

Have withstood pain to create many weapons.(彼の者は常に独り 剣の丘で勝利に酔う)

Yet,those hands will never hold anything.(故に、生涯に意味はなく。)

So as I pray,unlimited blade works.(その体はきっと剣で出来ていた。)」


 UBW――制限なき創剣とでも言えば良いのか。古今東西の『刃物』が突き刺さる世界、僕と千種は戦慄した……。

 この子は、69号だったのだと――納得するしか他はない。僕の遺伝子から最高の人型兵器を作ろうとしたあの研究所では、生まれた順に00から番号が与えられていた。第一期は00から09、第二期は10から19。およそ半年のルーティンで生み出される実験体にはみな、心がなかったという。身体的に何の異常があるわけでもない、ただ中身が赤ん坊以下であっただけで。××が生まれた第七期の他の素体も乳児並の自我しかなく、洗脳教育も効果を発揮することがなかった。だが唯一69である××だけが幼児以上の自我を持ち、研究者の言うことに従ったのだ。

 たった半年のルーティン、しかし第一期と第七期の間には三年半の時間が挟まっている。始めはただクローンを生み出すことに集中していた者たちがこう思い始めるに至るのは当然だろう。――オリジナルである骸よりも強くはできないか。オリジナルの限界を突破し、世界をも掌握できるほどの力を持たせることはできないか。

 その結果が、これだというのなら。


「終わったよパパン」

「――え、え。なら、ボンゴレと合流しましょうか」


 この子は、平穏な人生を送ることなどできないだろう――






 マフィアという暴力称賛主義の中にいる限り。


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