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なんとなく霧の守護者っぽいということで、ライナに霧の守護者のポジションを押し付k……贈呈した。
「は? なんで俺まで?」
「黙れライナ。お前は頷きさえすれば良いのだ」
私をだんご神様の遣いだと信じたフェリスがみたらし片手にライナの頭を踏む。――ライナも可哀想に。
「いや、フェリスが雨の守護者? ってのをするのは分ったけどさ、なんで俺にもそのお鉢が回ってくるわけ」
スポーン! と地面とフェリスの足の間から頭を抜いて起き上ったライナに私はにっこりと笑った。私伝勇伝好きだし、ライナは好きなキャラの上位に食い込むっていうか一番好きなキャラだけどねぇ、守護者として決めた理由って言っても――
「適当?」
「だぁぁぁぁぁぁぁぁ!! なんで俺の周りには常識人がいないわけ?!」
「黙って夏輝の話を聞きなよ」
暴れるライナに音もなく近寄りトンファーを突き付ける恭弥を見てフェリスが目を見開く――といっても本当にちょっとした変化だけど。無表情の人間を見慣れてると段々分るようになってくるんだねぇ。恭弥もそりゃあ嬉しそうな顔とか嫌そうな顔とかするけど、基本的には無表情だし。表情を読むのうまくなった自信あるよ。
「は、はあ?! お前もフェリスと同類かよ……ありえねーよ、人類にそんなスピード出せねーよ。なんで俺の知りあう人間知りあう人間、人外みたいな奴ばっかりなんだ?」
「私、常識人のつもりだよ!」
ライナの言葉に挙手して反論すれば、上から下まで私を見たあと首を振った。それも横に。え、酷い。
「いや、あんたが一番の人外だわ。ルシルより酷え」
まさかの比較対象に全私が泣いた! 顔を覆って泣く真似を始めたらライナに向けられる殺気が増した。――フェリスと恭弥の。……あはー、ご愁傷様だね☆
「あ、いや、止めてっ! 俺死んじゃう、死んじゃうから!」
「だんご神様のお遣いが人間ではないのは当然だろう!」
「夏輝が化け物って、キミ――何が言いたいわけ?」
なんか、二人とも突込みどころがありすぎて泣きそうだよ……。フェリスは恋(?)は盲目状態だし、恭弥は私「化け物」とまで言われてないからぁ! 私ちゃんと人間だし!
「――守護者がこんな状態で本当に大丈夫なのかね」
トリコは寛容に受け入れてくれそうだけど、この三人がねぇ、困っちゃうな。
「大丈夫だよ。頷かないなら咬み殺して言うことを聞かせれば良いんだし」
「咬み殺す? え、もしかして本当はあんた獣なの? 異世界なら獣人もいるんじゃね?」
なんだか混沌とした状況だねぇ。お姉さんは放置されて泣きそうですよ。ライナよりは楽な人生送ってきたけどまあまあ濃い半生過ごしてるからね? 精神的には年上なんだから敬ってほしいっていうか、それなりに対応してほしいっていうか。こんな守護者ばっかだけど後の雷と嵐がすっごく心配なんですけどねぇ?! ランボみたいな子だったら私心労で倒れちゃうよぅ……。
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