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「今度はどんな人だろぉねー」


 前回とあんまり変わらず、舞台? は森の中。私と恭弥は仁王立ちで誰かが現れるのを待っていた。今回は「私の雨」のいる世界。街道らしい道のど真ん中に立ち、誰が来るんだろうかと待ちぼうけをしている。


「さあね。――で、その雨っていうのはどんなの?」

「いやぁ……今こっちに来てるのは二人組なんだよねぇ。どっちが雨でそうじゃないのか分んないなー」


 円で見るに、片方は男、片方は女。両方とも帯刀してるもんだからもうどうしよぉ? 今は豆粒くらいの大きさで見えてる二人組を待ちながら、早く来ないもんかとぼんやりしてた。恭弥はどうでもよさそうに欠伸をして街道脇の木に飛び登り、寝る態勢に入った。酷い、羨ましい!


「ただ待ってるのもなんだし、こっちから迎えに行くのは――」

「何で僕らが動かなくちゃいけないの?」


 恭弥は嫌そうに顔を歪めて言った。――これだから会いに行けないんだよねぇ。仕方なくテーブルと椅子を錬金して、作ってきた三色団子とみたらし団子をおやつに緑茶を淹れる。前回は何も持って行かなかったから、トリコとの話し合いというか契約というかは難航したんだよね。あの場で料理して、期間限定だけど専属の料理人になることで合意したし……。はぁと嘆息して緑茶を啜り顔を正面に戻せば――土煙が上がっていた。ど、どうしたどうした!

 円を伸ばしてみて見れば、女が男を引きずって走ってるらしい。何が起こったのやらさっぱり……。みたらし団子を一本摘み、もぐもぐと咀嚼する。何が起こったか知りようがないんだから、食べて待てば良いでしょ。


「まて、まてって! 首が絞まる、死ぬ、俺殺される――!!」

「だんご神様が私を呼んでいらっしゃるのだ!! お前が一度や二度死んだところで問題ないっ!」


 …………。


「あ、なるほど」


 原因が分った。団子だ。


「って、ええ?! なんで街道の真ん中にテーブルセットがあるわけぇぇぇぇ?!」

「私がだんごをじっくりゆっくり食べるために決まっているだろう!」

「それ絶対違うからぁ!」


 私の前でキキー!! と足を止めたのは金髪の美女、フェリス・エリス。ここは伝勇伝だったみたいだねぇ……。


「だ、だんごが輝いているっ!」

「食べる?」

「それはもうもちろん!!」

「ぐえっ」


 フェリスはライナ――主人公なのになんでこんなに苦労してるんだろう、可哀想に――を投げ捨て、皿の上のだんごに手を伸ばした。私が瞬時に錬金した椅子に座り、まさに幸福だと言わんばかりにだんごを口に含んだ。そして。


「――!! こ、これはっ!!」


 驚愕の目でだんごを見つめ、次いで私を見る。その双眸は潤んで美しい。私も恵まれた顔だとは思うけど、フェリスの美しさは別格だもんねー。


「貴女は、だんご神様か?!」


 フェリスの剣にニコちゃんシールは、ない。


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