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 ついにあのツナが、笹川京子ちゃんに告白をした。――パンツ一丁で。応接室で書類仕事をしながら、風紀委員が報告してきた話にため息を吐く。


「あれって普通の人間としての自尊心とか色んなものを奪っていくと思うんだよねぇ」

「何か言ったかい、夏輝」

「一人事だから気にしないでー」


 死ぬ気弾って理性の壁を一時的に解除しちゃうでしょ。そう言えばツナは半年以上パンツ一丁で走り回ることになるんだよね、だって骸戦来年の九月だし。一年以上か……よくツナ捕まらないねぇ。半年以上痴漢行為というか露出行為を行うと精神病の一種って判断されるし、半年以上続けなくても性犯罪者として補導されるだろうし。それ考えるとリボーンって犯罪助長罪(そんな犯罪名かは別にして)? 理性のたがを外させる(トリップさせる=脳内麻薬だよ☆)ことにより普段は理性で抑えられてる本来の力を目覚めさせ、馬鹿力とかヘタレな性格に抑えられてる行動力を発揮させるんだよねぇ。……いやいやいや、それはないわー。いくら将来的には犯罪者(ドン)になるとはいえ、現時点で犯罪者(性犯罪の前科持ち)にするのはダメでしょ。あまりに可哀想過ぎる。本当にツナをドンにするつもりなんだろうなぁ、リボーンと九代目の本気度が分るね。『日本では(性)犯罪をしてまともなところに就職できない! どうしよう?!』『――なら簡単さ、ファミリーのドンになれば良いのさ!』みたいな。……なんてことだボンゴレファミリー、そうやって人を追い詰めて行ったから、業にまみれたマフィアになったんだ?!


「ねえ、恭弥」

「何?」

「恭弥はさ、私が実はとあるマフィアの跡取り候補だって言ったら、どうする?」


 そんなファミリーをツナが継がなくちゃいけないと思うと泣きそうだよ……可哀想にツナ、でも代わりになるのは勘弁して。


「ついて行くよ」


 瞬時に帰ってきた返事に驚いた。恭弥を見やれば、真剣な目で私を見つめてる。口元がついゆるゆると緩む。嬉しいことを言ってくれるじゃないの、恭弥ってばデレ期?


「有難ぉ恭弥。でも、今のところ私は候補外だから大丈夫。ツナ――双子の兄が第一候補だからね。もし私の実力がばれたら候補にされる可能性大だけどねぇ」


 ばれたくないけど、もし私がツナの立場だった場合――リング戦やりにくくなるなぁ。全員知り合いっていうか友達だし、月一で物品のやり取りしてるし。前は手紙だったけど、中学に上がって携帯買ったからメールになった。一番返事が早いのがベルとマーモンで、次がルッス姉、スクアーロ、レヴィの順。


「ばらせば良い。夏輝が一般商社に入社して仕事する姿なんて想像できないよ」


 私も想像出来ない。でも魔術回路使って闇の仕事とかなら似合うかもねぇ。それともあれだろうか、良い年した大人のくせに情報屋なんてやってるの? とか聞かれるような人間になるとか。なにそれ厨二病過ぎて泣きそう! コード・ネームとか言って現実と妄想の境目が分らなくなった人みたいな名前を名乗るんだよきっと! 恥ずかしい、うわー恥ずかしい……街の真ん中で「私は神に選ばれた人間だ! この世界は私を中心に回っているのだ!」とか言うくらい恥ずかしい。


「……ばらそうかな」


 リボーンが家庭教師として動き始めたその日、私は実力を隠すことを止めると誓った。


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