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 コンビニはコンビニでも「卵ください、卵ひーとーつー」のコンビニエンスストアじゃなくて、流れ作業のように人間を転生させていくあのコンビニ。


「お久しぶりです」

「いらっしゃいませ、本日は何をお求めでしょうか?」

「えーっとぉ、「超人的な体力」だけじゃ恭弥に対応しきれない気がしてきたので、何かちょうど良いものはないかと」


 死ぬ気の炎は滅多やたらと使えないし、マルチリンガルは戦闘の役に立たない。


「それならこれはいかがでしょうか?」


 店員さんが指示したのは、「チャクラ」「ギアス」「念」「虚無」「魔力」「雲体風身」「複写眼」「レトロウィルス『ケルビム』」エトセトラ。魔力にも種類があって、HP、リリなの、ネギま! 等々とズラリ。


「わー、何たるチート」

「どれになさいますか?」


 どれになさいますかって言われても、肉体でバトルな世界なんだからこれしかない気がするんだけど。


「なら「雲体風身」を――」

「「念」のお買い上げですね、400魂でございます」

「いや、だから「雲体風身」を」

「読者の分る能力にしましょう。ね?」

「リボーンの世界で生き残るにはこれが一番便利なんだってば」

「では残額6377魂でございます。またのお越しを」

「聞こうよ!」


 また私は落下した。――そういえば、残額増えてなかったか、私。誰か助けたっけ。


「――はあ、あの方はいつの間にか人を救うから困りものですね。本人にそのつもりがないのですから余計に悪い……今までこんな人間いなかったのに」


 減るどころか増えるばかりってのも困ったものだ、と、店員が零してたなんて知らない。









 朝起きたら、奈々さんやツナの周りに湯気が見えた。オーラですね分ります。私としては雲体風身を買いたかったよ……雲体風身って便利なんだよー。体のすべての機能を能動的に動かせる術で、脱臼しても筋肉の運動で戻せる。血を流しても筋力で止血できる。超便利。だってのに何であの店員は念にするかなぁ。幼稚園の送迎バスでどたばたしてる奈々さんとツナを横目にコップに向かって発をした。――ら、水面に蝋燭くらいの火が灯り、水量がだんだんと減っていった。しばらく首を捻って、分った。水を酸素と水素に分離して燃やしてるんだろう。特質か……制限なしで能力を考えろって言うのは酷くない? それを人は丸投げっていうんだよ。ああもうどんな能力にしようか。僕、分らないよパトラッシュ。

 コップに残った葉っぱを取り出し、なんとなく発をしてみた。形を失くし崩れる葉。なにこれ怖い。――でも、ヒントは掴めたと思う。私の能力は分解する力、それと、もしかしたら構成し直す力。どこの錬金術師なのー。発をして葉っぱに戻るよう念じて見たら元の葉に戻ったのを確認し、推論が正しかったと分った。なら制限は「一度手を打ち合わせること」「空気中からの錬製はしないこと」「『錬金』と唱えること」「人体の錬金はしないこと」かなぁ。「人体の錬金を行った場合体の一部を損失し、その無くなった一部が戻ることはない」も付け加えておこう。


「はぁ……普通に「錬金術」を買った方が早かった気がする」


 ついでに、数分後に私は前言を撤回する。ある事を思い出して。


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