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ボクはヒソカ☆ のIF。もし転生者が他にもたくさんいて、ゴンまで転生(もしくは憑依)者、なおかつ逆ハーレムを狙っていたら。な話。
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やっと原作に入った。私が生まれてから二十数年、暇つぶしに付き合ってくれる相棒ができて十数年。待ちわびた原作がやっと始まった――と、思ったら。
『何アレ……』
「ヒソカ」の視界を共有してる私の目に、ゴンらしき少年が飛び込んできた。もしかすると女かもしれない彼(仮)は短い黒髪に黒目は同じでも浮かべる表情は全く別物、クラピカに向ける目がもう、健全な十二歳児のものじゃなかった。
「あれがどうかしたの?」
ヒソカが不思議そうに訊いてきた。いつもなら気にも止めない類の人間に私が興味を示したことに首を傾げている。どうしたも何も、あんないかにも嫁の座狙ってます、みたいな目してるのはゴンじゃないじゃないか。原作をヒソカや皆には全く教えてないから私が絶句する理由が分からないのは当然の事だ。それに男には分りにくいかもしれないけど、私は一応元女だから良く分る。あれは不健全な思考の持ち主だ。
『ヒソカ、あれには気を許しちゃ駄目。獲物を狙うハイエナだから視姦されるよ』
「へえ……強いようには見えないけど☆」
『力が強い弱いじゃない、ようは心の問題だから』
人のこと言えた義理じゃないってことは分ってるけどね。私もだいぶん壊れた人間だとは思うけど、あのゴンもどきみたいに厭らしくはないつもり。
『良い? あれはこっちを騙すつもりだってことを忘れないように』
「分かったよ☆」
全くなんでこんな面倒な……うん? そういえば前になんか気に食わなくて殺したアレとかアレとかアレって、私が気付いてなかっただけで転生者だったのか?
ちょっと今度から気をつけて観察するべきかね。この私――ヒソカを見る視線が恐怖だけじゃない理由はきっと、転生者だな……。熱っぽいのまであるもんなぁ。
もう一人のボクであり、この体の主であり、ボクたちにとって唯一何にも代えがたい存在、それが『ヒソカ』。彼女は先ず始めにボクを生み出し、彼女と同じ名前をボクに分けた。だからボクが、六人の中では一番彼女の近くにいられる☆
『ああ……私ってイレギュラーがいる段階で気づいときゃ良かった。私だけが特殊事例であるだなんて確証なかったのに』
彼女が頭を掻きむしっているのが分る。少し悔しいことにリボーンやリナリー、ビアンキが慰めてる☆ いつもならその位置はボクのなんだけどな☆
「ねえ、もう一人のボク?」
『何、ヒソカ?』
キミが何を知っていてそう思い悩んでいるのかはボクには分らない。でも訊いてもキミは答えてくれないだろうね☆
「ボクを信じて☆」
あの黒髪の少年が邪魔なら殺そう。ボクを熱っぽい目で見てくる奴らも殺してしまおう。ボクはキミ以外の人間なんていなくても平気なんだから、キミが悩むことなんて全部解決してあげる☆ だから心配しないで、ボクを信じて任せておくれ☆
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