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自堕落にくっちゃねの生活を送ってて気付いた。私、運動不足だ。幼児体型だなんて言って誤魔化しちゃいけない、下腹ぽっこりは今のうちから対策せねば!
「ということで、外に遊びに行ってきます」
「馬鹿か」
今日の見張り番ことグリムジョーがポカリと私の頭を殴った。
「何故に!」
「遊びに行くのを許して暴走されたらオレの責任になんだよ!!」
「良いじゃない、どうせグリムジョーなんだから」
「テメーそりゃどういう意味だ」
鼻が触れそうなくらい顔を寄せられ、三白眼気味の鋭い目で睨み付けられる。冗談なのに。
「酷いっ、グリムジョー、信じてくれないのねっ! 私こんなにグリムジョーを愛してるのに!」
「あ……?」
「所詮グリムジョーにとっての私はその程度の女だったのね! あんなにも情熱的に私を守るって言ってくれたのに!!」
私の力を封印した時、グリムジョーは言ったのだ。ずっと私の傍にいる、と。――そりゃこんな珍しい能力持ってて、暴走しやすいから封印するしかないような奴から目を離しちゃいけないよね。
愛の告白じみた言葉だったけど……五歳児に愛を囁いてどうするのさ? きっと私を絶対に暴走させないように心を砕くって意味だったんだよ。じゃないとグリムジョーロリコン説が持ち上がるよ。
「お、おい……オレはそこまで言ってねーだろ? 泣き止めって」
グリムジョーが挙動不審になりながら私を宥めようと言葉を重ねる。動揺しちゃってどうしたのグリムジョー、らしくないね。
「――というのは冗談として。先生、私良い子にしてるから外に行きたいです!」
「冗談かよテメー!――ちっ、良い子悪い子の話じゃねーだろーが! 良いかユーリィ、テメーの少ねー頭で考えろ。外に出るとぜってーテメーのテンションが上がる。つまりいつになく疲れるってこった」
外に行ったら確実に暴走すんだろが、と言われて否定できない私が憎い。でもさ、まるで飼い殺しのようじゃないか……こんな生活。
「聞こえないねぇ、私は自由を手に入れるのさ! アデュー!」
「おいユーリィ――!」
藍染君には君から説明してくれたまえ。私は私の道を行く! とかなんとか恰好良い台詞残して家出しました。ついでに私はエスパーダじゃないから自宮がない。だからその時々の目付け役の宮で遊ぶことになってて、私の待遇にはそれぞれの個性がでてる。
まるで私はどこぞのお姫様かと思うほどの厚遇はウルキオラ、新古問わずゲームの類が多いのがグリムジョー、私の実年齢はともかく外見年齢的にはアウトな大人の玩具を平気で置きっぱなし出しっぱなしなのがザエルアポロ、戦えるように稽古つけてやると追い回してくるのがノイトラ。一番迷惑なのは当然ながらノイトラ。
グリムジョー以外はみんな病的な保護者意識でもあるのか、私が外のその字でも言おうものなら室内に押し込めて出してくれない。だから可能性のあるグリムジョーに言ってみたんだけど……無理なら強硬突破だよね。
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