サバイバル二次試験が終わり、間に一ヶ月の休みを挟むと言われて肩の力が抜けた。休みがあることは覚えてたけど、知ってるだけと実際に言われるのはやっぱり違うからね。早く宿に戻って休みたい……もう疲れた。


「待てってば、うずまき!」

「あ、馬鹿!」


 今のところ私の本名がうずまきナルトだと知っているのは私と我愛羅たち砂組といささぎカイトだけだったというのに、この馬鹿は私を呼び止めるのにうっかり洩らした。それも大声で。


「うずまき、ってどういう意味かな? カーイト」

「? あいつの名前だってば――あ」

「この馬鹿イト!! だから思い出さんで良かったんだ」

「ごめんってばよ、おおぎぃー」


 カカシ先生の目が私に突き刺さる。あれは確信した目だ……ただでさえ探るように見られてたっていうのに、確証を与えてどうする!


「ね、ちょーっとお話ししない? ダイジョーブ、そんなに時間はとらないから」

「お断りする。そんなに私の本名が知りたければそこのうっかりの塊に聞けば良い」

「――いや。風歌の名前は『おおぎ 風歌』だけだ」

「風歌は砂の者、気安く声をかけるな」


 我愛羅とテマリさんが私を背中に庇い立つ。確かに『うずまき ナルト』の名前は里を出るときに捨ててきたけどね、間違いじゃない。変えようのない事実として私はうずまきナルトなんだから。私は二人の肩に手を置く。


「我愛羅、テマリさん、有難う。でももう目を背けていられる時期は過ぎたみたいだ。一度は捨てた名前を再び名乗るなんて――ね」

「風歌……」


 苦虫を噛み潰す思いってのはこういうのを言うんだろうな。このうっかりのせいで名乗ることになるとは思いもしなかったよ本当に。一生ネチネチ言ってやる。


「私の名前はうずまきナルト。――四代目火影の、息子だ」


 文句ある奴は前に出ろ。叩き潰してやる。


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