オレの母さんは本当の意味での母さんじゃない。オレを生んだ時に記憶をなくして、オレの母さんじゃないうずまきクシナになったんだ。だから母さんって呼ばれるのを嫌がるしオレにはクシナさんと呼ぶように言ってる。でもオレには記憶をなくす前の母さんなんて知らないしクシナさんがオレを育ててくれたから、心の中でこっそり母さんと呼んでる。


「ナルト、どこ?――そこか」


 クシナさんの話し方はどこかおかしい。年齢にそぐわない、婆さんみたいな話し方をする。それも肝っ玉婆さんの。


「ナルト、麺が伸びるから。はよきぃ」


 オレは気配を完璧に絶っているはずなのに、どうしてかクシナさんはオレの居場所が分かるらしい。いつもすぐに見つかってしまう。記憶がないだけで親子だからかもしれない。そうなら嬉しい。凄く。


「クシナさんクシナさん」

「何?」


 呼んだだけ。


「オレ、クシナさん大好きだ」

「ラーメンだから?」


 テーブルの上にはオレの大好物のラーメン。


「違うよ、オレはクシナさんのラーメンは好きだけど、ラーメンとクシナさんは比べるべくもないよ」

「一体どこでそんな言い回しを覚えてきたのさ」


 クシナさんは苦笑いした。オレが、前にクシナさんが使ってたから覚えたんだと言ったから。


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