そういえば木の葉の里は壊滅状態なんだった。そういえば。九尾のきゅーちゃんがオラオラと暴れまわったからなぁ。当然なのかね?

 「五代目となるべき者もおらぬし、わしが老体に鞭打つことになりそうじゃ……」とか三代目が愚痴りに来て、とりあえず「はぁ、さいでっか」という内容をぎゅうひに包んで言っておいた。もちもちとした食感が美味しいんだよ、ぎゅうひ。

 家事の全てを母さんと姉ちゃんに押し付けてのうのうと堕落した生活送ってた私に生活能力を求める方がおかしい。私はだらだらとお気楽入院生活を送った。三代目ってば復興に忙しいだろうに、私とナルトを毎日見舞ってくれるんだから優しいよね。ベッドと仲良くしなくちゃならない産褥期も終わり、出来ることはしようと手伝った――ら、私よりよっぽど重体な妊婦さんとか怪我人とかがたくさんいると知った。そりゃそうだよ、私はまだ安全な病院でのうのうと寝こけてたけど、他の皆さんはそうじゃない――危険区域にいたんだもんなぁ。


「私はもう大丈夫です、ですから怪我人の皆さんを優先してください」


 あんなババアジジイだったとはいえ、両親は中の上の生活水準を維持してくれてた。だからこそ盲腸の手術代も出せたんだから。だから敬語は人並みに扱えてる――はずだ! 年上には敬語、年上か分からんかったらとりあえず敬語、年下には猫を被ってまた敬語!


「クシナ様、なんとお優しい!」


 本当に優しいんだったらもっと早く行動を起こしてるだろうに。


「有難やクシナ様」


 ばあちゃんが南無南無と手を擦り合わせる。有難がって祈るひまがあるなら孤児の話し相手でもしててくれ。

 合理的にしか考えられないのはやっぱ、ここが紙面の世界だって思ってるからかな。当事者じゃないからかもしれない。傷付いたのも、死んだのも、皆紙の上の存在だからだろうか。それとも脳が受付拒否して現実味が持ててないだけだろうか? まあどっちだとしても今のところどうでも良い。


「みんな平静を失ってるからなぁ、これじゃ復興するもんも復興しないよ」


 皆さん頭に血が上っていらっしゃるようで、傍目には何してんだこいつらってことを大真面目にしだしたりするもんだから頭が痛い。三代目もどっしりと構えてくれてりゃ良いのに先頭を切って迷走してるから質が悪い。こういう時はリーダーは居場所がはっきりしてないと駄目だろ……。

 私がなんとかすべき――なんだろうなぁ。これじゃ死人と怪我人が減らないどころか増えるばっかりだ、ここで使わずにいつ使う四代目嫁権力。



「皆さん落ち着いてください。――落ち着いて。落ち着いて……落ち着けって言ってんだろが人の話を黙って聴きやがれこの愚図共が!!」


 復興後には何故か、私の怒鳴り声は美化されて伝えられてた。人間の脳って不思議だ。


5/8
*前次#

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -