08
ネオンちゃんを送り届けるために恭弥と代わり、途中からはリボーンに出てもらったからなんだか外に出るの久しぶりみたいな気がする。昔はただの演技でしてたのがいつの間にか人格として独立しちゃって私の監督下から外れてるけど、皆良い子でお母さんは嬉しい。特にリボーンは孝行息子だし頭良いし。孝行息子といえばシカマルも親孝行だよね。ココは私を親というより台風の目みたく思ってるみたいだから息子と思いにくい。
『ふぅん……じゃあボクは?』
「ヒソカ? ヒソカは息子っていうより相棒って感じかな」
『ボクともう一人のボクは同じ名前だもんね☆』
「そうそう」
私が表に出てる時、だいたい話しかけてくるのはヒソカだ。他の子達は寝てるか傍観してるかで、あまり外と関わろうとしない。なんでだろうね? 母さんは君たちが望むならいくらでも体を貸すというのに。
『ねぇもう一人のボク。ボク、ムラムラしてきちゃった☆』
「えー、恭弥とリボーンがさっきまで殺しまくったでしょ」
『ボクは指をくわえて見てただけじゃないか☆ 良いだろ?』
ヒソカは私が断らないことを知ってる。私はノストラードのおっさんから押し付けられた礼金でケーキバイキングに行くつもり満々だったからちょっと渋っとしまう。血臭漂わせて乙女の中に入るのは気が引けるんだ。
「あとからじゃ駄目?」
『今が良いんだよ☆』
「……仕方ないなぁ」
毎回折れて、そのせいでケーキ屋巡りとかケーキバイキングとか逃したの何度もあるからなあ。リナリーは自分が不運だって嘆いてるけど私もこういうのに関して運悪いよ。
私はため息を一つ吐いて額から髪に指を差し込む。そのままオールバックにするように髪をすけば燃えるような緋に変わり、両頬に雫と星のペイントが浮かぶ。
「愛してるよ、もう一人のボク……☆」
『そうかい、そりゃ良かった』
服がカジュアルなものから、ボクに似合うものに変わっているのを見てくつりと笑む。いつもながらもう一人のボクは芸が細かい☆
「強い人間いないかな☆」
もう一人のボクはボクに特に甘い。ボクに彼と同じ名前を付けるくらいボクを特別視してる――良いよね、特別って☆
彼の一番特別はボクだけで十分。彼の特別はボクたちだけで十分。この世にはボクたちだけがいるなら、玩具がなくても良いよ☆
だってそうだろう? 彼がよそ見することがない、よそ見する相手がいないんだから☆
まぁ、彼がボクたちを置いてよそ見なんてするはずがないんだけどね☆
「どうせ死ぬなら、せいぜいアレを見せておくれ☆」
コレはもちろんリナリーにさえ劣る玩具――その存在意義はボクを楽しませることだけ☆
「赤い噴水をあげなよ☆」
そして今日もボクは命を刈り取る。ただ――ボクの快楽のために。
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