その05



 ノブナガと餓鬼二人――ゴンとキルアはバッテラの面接を受けるために市内へ向かったが、オレたちはそんな面倒くさいことをするつもりはない。マルチタップを使っても一台につきグリード・アイランド内に入れるのは四人のため、人数を絞ることにした。オレが入るのは当然として、他に誰を連れて行くか。パクとシズクは入れた方が良いか……予言を信じるならシズクは中に連れて行く方が安全だ。


「一台はオレ、パク、シズク。他に入りたいという奴がいれば希望を聞こう」

「ならオレも入りたいな。面白そうだし」


 先ず手を上げたのはシャルナークだ。そして次にフェイタン。


「能力者限定のゲームに興味あるね」

「ボクも立候補☆ 期待してた玩具のアテが外れてね、新しいのを探したいな☆」

「私も行く。ゲーム中のゲーム機本体は壊れないんだろう?」

「情報によれば、どうやらソフトに掛けられた念に守られてるみたいだよ」


 ヒソカ、マチ――シャルナークがマチの疑問に頷いた。


「オレも行くぜ。ノブナガがあいつらを鍛えるってんだろ? ならオレもそいつに参加しねぇとな!」


 これで八人。残るコルトピ、フィンクス、フランクリン、ボノレノフには好きにしてくれて良いと言えば、四人はそれぞれプライベートに帰って行くと告げた。


「さっさと盗んで入ろう。――シャルナークはもう少しその店に関する情報を集めておけ。兄さんの事だからオレたちに何かメッセージを出しているかもしれない」

「了解。公式HPが存在するはずだからそっちも当たってみるよ」


 シャルナークとパクたちをアジトに残し商品を運ぶ車を襲いゲームを手に入れる。あっけないな……たった数日前にゾルディックの先代と今の長二人と戦ったからか、マフィアの護衛が塵芥のように弱く思える。


「弱いな」

「暇つぶしにもならないよ」


 同行していたフェイタンが呆れたと言った表情で死体を見下ろす。ヒソカのトランプによって喉を掻き切られた者、フェイタンにより首を飛ばされた者、オレにより原型を留めない者。見慣れた死体だ。


「さっさと帰るぞ。ここで時間を浪費する暇はない」

「はーい☆」

「了解」


 アジトへ帰れば笑顔のシャルナークがオレたちを迎えた。パクは喜びで涙ぐみ、マチやウボォーギンも画面を指差し「早く見ろ」とオレを急かした。一体どんな情報があったというのか?

 ノートパソコンの画面にはグリード・アイランド公式HPと書かれたページが開かれている。島の簡単な地図が表示され、その中央付近に魔法都市マサドラという吹き出しがあった。


「そのマサドラって文字がリンクになってるから、クリックして」


 シャルナークに言われるままクリックすれば羊皮紙に書かれた手紙という表示形式のページに飛ぶ。そこに書かれた文字に目を剥いた。


「グリード・アイランドで唯一通販を受け付ける店? しかし相手は課題に答えることができる者に限る――『オレの可愛い妹と弟の名前を答えよ』。ふ、ふ……ははは!」


 兄さんはどうしてこうも面白いんだ。下の空欄にマナとクロロと入力してエンターを押せば、まだオレでさえ食べたことがない料理や聞いたことのない道具の写真と名前及びその効果が書かれたページに入ることができた。兄さん、おにぎりを通販する人間は滅多にいないと思うんだが。


「コーヤは本当にブラコンなんだね☆」


 オレの横で画面を覗き込んでいたヒソカが呆れと笑いが半々の苦笑染みた表情を浮かべ、逆隣のフェイタンは「チャーハンホイコーローマーボー豆腐マーボーナス……中華が少ないね。ふざけてるか」と文句を言っている。


「これでグリード・アイランド内にいるのは兄さんもしくは兄さんの代理人だと分ったな」

「うん。だからオレたちはただマサドラでコーヤの店を探せば良いだけってことだね」


 オレの安堵の言葉にシャルも大きく頷き、パクは口元を抑えて「良かった」と震える声で呟いた。


「兄さんともう会えないなんて信じたくなかったもの……本当に良かった」

「パクはコーヤフリークだもんね。ま、団長はもっと凄いフリークだけど」

「当然だ。兄さんがいなければ今のオレはいない」


 そうきっぱり言い切ったオレに、シャルナークたちは当然だろうなと納得の表情で頷いた。この場にいるほとんどのメンバーは兄さんと間接的にだが関わって来た者だ。初めて食べた金平糖の味は忘れないと言っている奴もいることだしな。


「さて、グズグズしていればそれだけ兄さんに会えるのも後になる。――行くぞ」


5/22
*前次#

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -