05
女はネオン・ノストラードと名乗った。名前なんてどうでも良いんだけど、呼ぶ時「君」や「貴女」だけじゃ分かりにくいから。草食動物って一くくりにしたら区別が付かないし。
「で、どうしてノストラードの娘がこんな場所にいるわけ?」
「……い、家出?」
「君、一度誘拐されれば」
あの予言で有名なノストラードの娘だなんてどうでも良いことだったんだけど、一人でさ迷い歩いてた理由を聞くと心底どうでも良くなった。
「――でも、君と一緒にいれば肉食動物と戦えるからね。守ってあげるよ」
飽きるまで。
「あっ! 有難う! 名前聞いて良い?!」
「雲雀恭弥」
ヒバリ君と呼んでくる彼女に、そういえばこちらでは名前を先に言うんだったと思い出した。まあ名前を気軽に呼ばれるより幾分マシだから言わないけど。
「弱い奴には興味ないよ。強い奴を連れて来なよ――白髪くらいの、いないの?」
今は体の中で観戦してるムカつく男。僕たちを生み出し、戯れに体を貸す。僕たちのように念で何かを出来るわけじゃないけど――誰よりも強い。あいつに勝つためになら、この肉食動物ホイホイと行動を共にしても良い。
絶対に、いつか、勝つ。
5/10
*前|戻|次#
|