04
街にいる草食動物の中でも脳が足りていない類が群れてそうな暗い路地、僕は草食動物の群れに襲われてる草食動物を庇う形で立っていた。
「死にたいの? 死にたいならそうやってうろちょろしてなよ」
全くあの白髪、僕を呼び出したと思ったら面倒事を押し付けて。
「し、死にたくない!!」
「ならそこを動かないでくれる? 目障りだよ」
中で白髪がゲラゲラ笑ってて気味が悪い。そのストレスを頭の弱そうな奴等にぶつける――僕の前で群れるな。トンファーを振り下ろし、一匹の草食動物の頭を叩き潰す。ああもう、苛々する!
「なんだてめえは! こいつのボディーガードか?!」
男の言葉に自然と眉根が寄る。
「まさか! ただの他人だよ。知り合いでもない」
「なら今のうちに引くんだな、この女を狙ってるのは俺等だけじゃないんだぜ」
「それこそもっと僕には関係ないな。――ねぇ君、君は重要人物なの?」
前半は群れのリーダーらしき男に言い、後半は狙われてるだとかいう女に向けて問えば、口を真っ直ぐに引き結んで何度も頷いた。声に出して答えてよね。
「そう。なら君の近くにいれば肉食動物が向こうから来るってことだよね。――良いよ、助けてあげる」
白髪が腹を抱えて笑い転げているのは無視だ。今の僕は、とても気分が良いからね。
あの白髪、たまには良いこともするんだね。
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