03
廊下の惨状を見て、ツインテールが乱れるのも構わず頭をかきむしった。
「ああもー! ココさんもイルミさんも馬鹿ばっか! 面倒事は私に押し付ければ万事解決とか思ってるんじゃないのかしら」
私はぱっと額にかかった髪を払うと、窓から飛び降りてその場を後にした。
水分を摂ったと言っても喉が渇いて仕方ない。確かジューサーバーが近くにあったはずだから……そこに行こうかな? ちゃんとお財布持ってるし、一杯くらい良いわよね。
ミックスジュースにしよう、それが良いわ、と考えながら陽の落ちた街を進み――気付いた。
「く……CLOSED……」
あぁもう、皆の中で私って一番運が悪いんじゃないかしら! ううん、私の運が悪いんじゃないわ、皆の運が良すぎるか、私の運を吸い取ってるのよ。
「帰ろう……なんだか倍疲れた気がする」
普段の『私』に戻るのは帰ってからで良いよね。闘技場に戻れば、ココさんとイルミさんの、似てるとは言いがたい似顔絵と特徴が掲示板に貼り出されてた。捕まえた人には五百万ジェニーだって。命をかけるには安過ぎるけど、知らずに捕まえに来る人たくさんいるだろうなぁ。 部屋に戻るとベッドに倒れ込んで念を剥がし、『私』から私に戻った。
「イルミフラグ立った! イルミフラグ!」
興奮しないはずがない! 手足をばたつかせてベッドの上を転がり回る。
「このナイフ家宝にする!」
イルミの喉に触れたナイフを、どうでも良い奴らの脂肪で汚すだなんてもったいないことしない。箱に仕舞って眺めたりすかしたりするんだ。
――と、『ヒソカ』がつまらなそうに考えた。
「なんでヒソカにならなかったかって? そりゃアレだ、毒の効かないと言われてる人間にもココの毒が有効か知りたかったから」
どうらや効くみたいだし、濃度を上げたらシルバさんやゼノじいちゃんにも使えるだろう。ついニヤニヤしてしまう。ああもう本当に、ハンター試験が楽しみだ!
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