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 天空闘技場にある部屋の浴室で、頭からシャワーを被る。原作の時期が近付いてきた☆ きっと会える、ううん、絶対に会える。そう思うと自然と口の両端がつり上がる――楽しみだ☆ 『ボク』の青い果実ちゃんたち……☆ クックック、と笑って髪に指を差し込み絡みついた念を剥がし取った。脱色して色素のない髪になったのを見て、気持ちをスッパリと切り替える。もう『ボク』じゃない、私だ。

 ヒソカに転生したと気付いたのは三歳の時。ハンター世界に転生したと思ったら名前がヒソカで、もしかして、と思ってたら大正解。私がヒソカだった。


「クック☆ あ、やべ、引きずってる」


 つい思い出し笑いして、笑い方がヒソカのまんまだったから頭を振ってヒソカの魂を追い出す。やべーやべー、またスイッチが入っちゃうじゃないか。


「まだあと一年……。楽しみだなぁ、ゴンとキルア」


 薄ピンクのカッターシャツに細い灰色のストライプが入ったスーツを来て、寒色系のネクタイを緩めに絞めて部屋を出た。









 私は時々ヒソカとして殺しをする。だって私の中にいる『ヒソカ』が殺したいって言うんだもん。その殺しに善悪なんてさっぱりないし、てかヒソカが騒いだらその場ですましちゃうことが多いから無差別殺人かも。でも弱者だけを狙うような陰険な犯罪者じゃないから良心的だと思うな。


「ここで会ったが百年目だな、ヒソカァ……!」


 私はヒソカである時や他の六人になっている時以外は絶をしている。念の制約なんだけど、目立たずに済むし逆に良いことだって思ってる。まあ念能力者には見つかりやすいっていう短所があるにはあるけどね。でも短所っていうよりは長所じゃない? 私がわざわざ探さなくても向こうさんから声をかけてくれるんだから。


「誰?」

「テメッ!! テメーが潰したオレのファミリー……ゾーラファミリーを忘れたとは言わせねぇぞ!」

「さっぱり覚えてないなぁ」


 街を適当に散策して、夕食に穴場のジャポン料理店で天丼食べた帰り。猫と浮浪者しか通らないような裏道を歩いて天空闘技場に向かってた私の目の前に、なんか汚い感じの男が手下を数人引きつれて現れた。髭は剃ってないしお風呂には半年くらい入ってなさそう。


「でも、ま。実は今日試合だけしかしなくてつまんなかったんだよね。キミたちが相手してくれる?」


 絶状態の私を見つけたその目は褒めてあげても良いかな。額から髪に指を差し込んで、後ろへ流す、その動作だけで私は『ヒソカ』になる。髪は白から燃えるような紅に、頬には星と涙型のペイントが浮かぶ。自然と唇が弧を描いた。――ああ、これからアレを見れるのかと思うとゾクゾクするよ☆


「おいで、殺してあげる☆」

「テメェェェ!!」

「うらぁぁぁぁぁ!」

「死ねええ!!」


 鬨の声を上げ襲いかかってくる彼らの喉首をトランプで切り裂けば、アレ――鮮やかな深紅――が噴水になった☆ この色ほど素晴らしい赤はないよね☆ 永遠に残せないからこその美しさ、とでも言うのかな?


「ク、クク、はーぁっはっはっは!」


 この世の全てはボクを楽しませる玩具。幻影旅団も、ゴンやキルアも、もちろんゾルディック家だってね☆ 全てがボクの手の中で転がるビー玉、糸を付けられているとは知らぬ操り人形……☆ もの言わぬ死体を放って天空闘技場へ帰る。血の匂いは好きだけど、ボクが私でいる時には邪魔でしかないからね。早く帰って返り血を流さなくっちゃ☆


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