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 ドーラのモデルがユキだということがバレたら師匠がショタにだけじゃなくロリにも目覚めてしまうかもしれない……それだけはどうしても防がなくちゃならない☆

 ドーラの店に行くためにフォーマルな格好に着替えると言えば師匠は文句を言ったけど、ユキのストーカーの変態がボクの化粧なしの姿を見たがったこともあってどうにか押し通せた。素直に感謝できないネ☆

 変態のだという部屋の扉をノックすれば、見知らぬ気配が扉を開けた。短い黒髪に髭面、小さいサングラス。ひょろりと背が高くどちらかというとチンピラ風の風貌の男だ☆ 念を知っているらしくぴったりとオーラが凝着しているけど、まだ成長途中だね☆


「どうも☆」

「どーも。あんたがヒソカさんで合ってるか?」

「そうだよ☆ キミがレオリオ?――エミリオの今の弟子の」

「ああ、あんたの弟弟子だな。よろしく」

「ヨロシク☆」


 レオリオに招かれて部屋に入れば、流石のボクも絶句せざるを得ない光景が広がっていた。壁には引き延ばされたユキの隠し撮り写真だろうポスター、雑誌の切り抜きらしい少女服姿のユキ、他にも可愛い少女モデルの写真がたくさん貼られていた。棚に並ぶのは月刊百合、ショタ☆メイド正太郎君☆等々――真正のロリショタ趣味だ。もはやどうしようもない域に達している。


「あ、やだぁ、ヒソカさん超格好良い! ユキちゃんとエロエロしませんか、私それを横で見てるから!」

「しないよ。少なくともキミの前では」


 飛びついてきたゴスロリを横に叩き落として師匠を見やれば、室内にあったんだろうショタものの漫画を読んでいた。


「じゃあ行くか。おいエミリーこの本借りるぞ、行き道読みながら歩くから」

「止めてくれ!」

「もしそんなの持って歩くつもりなら案内しないよ☆」


 ボクとドーラと師匠の三人で旅していた時を思い出す。あの時も大変だった……街で美少年を見かける度に彼らを誘拐しようとして、その度にボクらが必死で逃がしたんだよね。師匠の隣を歩くのは恥ずかしかった……同類に見られるからね☆

 放り出されて喜んだボクらと違って、レオリオは自ら進んでその苦労を引き受けている。性犯罪の被害者を減らしたいと思ってだろう☆ その心意気には感動しないはずがない。

 同じ気持ちだったのか、レオリオとボクはしっかりと握手していた☆


「兄弟子だっつーからちょっと不安だったが、あんたはまだマシな感性してるみてーだな」

「キミこそ☆ 被害者を出さないためとはいえ、よくこんな変態と一緒にいられるネ☆」

「まーな。お互い様ってことか?」

「どうやらそのようだ☆」


 師匠の手から漫画を叩き落として部屋を出た。ドーラにはすでに連絡済みだから大丈夫だろう。見られて困るものはしかるべき処分をした、と思いたい☆ 何事もイレギュラーはありえるからね。

 変態二人が付いてきているのを時々確認しつつドーラへ向かう。ここから歩けば三十分くらいかな。弟弟子がボクの横に並んだ。――あの二人と一緒に歩くたくないことは良く分かる。


「キミは何年前から師匠に?」

「五年だな。あんたは何年前なんだ?」

「十数年前に拾われて、十年近く前に放り出されたよ☆ ついでに拾われた理由は顔☆」

「オレは手足のアンバランスさが良いとかいう理由だったな」

「なるほど☆」


 背の高い方であるボクでも見上げるような長身だから、その分手足も大きかったに違いない☆ 師匠にはその成長期のアンバランスさが魅力的に移ったんだろうけど、手足が大きいことはつまり背も伸びると言うことだ☆


「ところでさっき姪っ子ちゃんが言ってたけど、ユキちゃんって彼女か?」

「ンー、まだ恋人じゃないけど、そのうち落とすよ☆」


 レオリオは羨ましそうにボクを見た。まあ、チンピラみたいな見た目だから普通の感性の女性なら近寄らないだろう☆ それに加えてあの師匠だ☆ 変態と一緒にいたら同類扱いされるからネ、可哀想だけどそれは仕方ない。


「良いなァ……オレも可愛い女の子と恋したいわ」

「ま、あの人から離れたら自由に恋愛できるさ☆」

「だよなぁ」


 兄弟弟子として交流を深めながら歩く。今度のハンター試験を受けるつもりだと言うこと、念はまだ基礎をしているところだから発まではほど遠いことを軽い調子で話してくれた。いくら同じ苦労をした間柄とはいえそこまで言って大丈夫なのかい? ボクはそれが心配だよ。


「――着いちゃったね☆」

「ここか」

「おーう道場破りだぜドーラァ!! 愛しのお師匠様が来てやったぜ金を出せェェ!」

「あ、待ってよ叔父様ー!」


 遂に着いてしまったことに失望しつつビルを見上げたボクとレオリオと違い、師匠はどこぞのチンピラのようにズカズカと入っていった。道場破りじゃなくて強盗じゃないのかな、コレ☆


「入ろうか……☆」

「そうだな」


 レオリオの肩を叩けば鼻をすする動作をして頷いた。


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