朱金の髪に一束白のメッシュが入り、瞳は焦げ茶。造作はエイジアン系なのか淡白でくどさがない。身長などヒソカより頭二つ分は低く、童顔と相まって十代後半にしか見えない――のだが。


「失礼な、そりゃあヒソカほど恰好良い男とくらべたらオレの顔は残念かもしれんが他人とは何だ他人とは。オレ達は同じ母親の腹を借りて生まれてきた兄弟だぞ」

「兄さんは血縁というものを超越してるのよ、ヒソカなんかと似てるはずないじゃない」


 血は繋がっているのかと訊ねれば、初めて憤慨したように眉間を険しくした。そういう話じゃない。――ところで、その女は妹なのか?


「血縁を超越って……なぁ? オレやフェイとの方が似てんじゃねーか?」

「言えてるわね」


 ノブナガが自分の顔を指差しながら言えば、パクノダとマチがうんうんと頷いた。全くその通りだ……兄弟とは思えない。と、ついさっきまで呆然とし言葉を失っていたシャルナークが呻き声を上げながら頭を抱えた。信じられないと呟きながら。


「オレは、ヒソカとジェリー・マウスは十五近く離れてるのかと思ってたんだ。いるだろ、歳の離れた兄弟って。今三十二? 現役暦二十五年のジェリー・マウスが三十二歳だって?」


 有名な情報屋であることしか知らなかったオレや他の皆の目がジェリー・マウスに向く。


「ヒソカが生まれてしばらくしてから開業したからな、そうか、もうそんなになるのか」

「嘘だろ……七歳なんて餓鬼じゃねぇか」

「だって兄さんだから」

「兄さんは兄さんだよ☆ 物心ついた時には兄さんしかいなかったし」


 女とヒソカがさも当然とばかりに言った。


「で、オレは仕事の話をしに来たはずなんだが。どこの情報が欲しいんだ? ホームページがないとなるとマイナー所になるから高いぞ」

「いくらだ?」

「ものによるが六千万はいくな。初回料金を加えて最低七千万は頂こう」


 普通の情報屋の倍以上はする。ここまで高いと断る者も多いだろうに、何故この男の情報を買いたがるのか――ジェリー・マウスが続けて言った。


「オレはただの情報屋じゃない――情報のプロフェッショナルだ。誰でも簡単に手に入れられるような屑ネタは売らん」


 オレが盗む相手を選ぶように、こいつも売る相手を選ぶということだろう。始めの「合格」とはそういう意味だ。


「だがまあ可愛いヒソカが欲しいって言ってるんだ、兄弟価格でプライスレス」


 真面目な顔して商売の話をしたかと思えば、とたん相好を崩して言い出したのは無料化。

 イチャイチャと兄弟愛劇場を繰り広げる二人とヒソカを攻撃する女に、なんとも言えない気分になった。――それで良いのか情報屋。


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