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 ユキが変な声を上げて倒れた。


「ユキ!?」


 慌てて抱き起こせば目を回して気絶していた。一体どうしたんだろうか? 目を回すようなことがあったわけじゃないだろうし……あ☆


「ククッ、本当に十八には見えないねぇ☆ 可愛いじゃないか☆」


 ボクの素顔が整っているということは良く知ってる☆ でもたいがいが見とれるか嫉妬するかだから、こんな初な反応をされるといつもとは違った意味で興奮するね☆

 喜々とした様子でココアを飲む姿も可愛かったし、食べちゃいたいなぁ……。

 抱き上げてベッドに運び、乱れた髪を撫でつけた。悪夢でも見ているのか唸っているユキを置き寝室を出てリビングで本を読む。今日は実はドーラがモデル契約を結びたがっていることを伝えようと思って呼んだんだけど、あの状態じゃ今すぐは無理だね。ユキ本人は少女服を着るのを物凄く嫌がっているけど、残念ながら似合ってるんだから仕方ない☆ きっと今度も押し切られるに違いないね☆

 本を読み始めて一時間が過ぎるか過ぎないかという時間にドーラから電話があった。


「なんだい?」

『なんだい、じゃないわよっ! ユキちゃんは頷いてくれたんでしょうねぇえ?』

「ああ、まだ話してないよ☆」

『はぁ!? ナマ抜かしてんじゃねーぞ、インポにされたくなきゃさっさと切り出せボケが!!』

「うん、そのうちね」

『死ねヒソカ死ね! あの子のお陰で少女服の売り上げがここ数日右肩上がりなのよ、協力取り付けられなかったら刺し殺してやるわ』

「おお、怖い☆」


 ドーラの鬼のような形相が目の裏に浮かぶようだ☆ 彼女の仕事に対する情熱にはボクも感嘆するほどで、彼女がそう言うならきっと実行に移すだろうことは確実だ。ボクと違って真面目に受けたからハンター証を持っているし。


「まあ、もう少し待ってくれよ☆ 今ユキは目を回して寝てるんだ」

『あら、そうなの? なら早くそれを言いなさいよ。――良い、ヒソカちゃん。あんたはユキちゃんにモデル契約を頷かせて、休みの日に本店までエスコートして、帰りも闘技場まで送るの。分かった?』

「はいはい☆ 分かってるよ☆」

『初なところが可愛いんだから手を出しちゃだめよ』

「えー、それは頷けないなァ☆」

『お黙り! これは命令なの、分かるわね!?』

「はいはい、仕方ないな☆」


 ドーラは、ボクたちにに負けず劣らず……いや、輪をかけて変な嗜好の持ち主だった師匠を同じくする兄弟子だ。といっても一年しか変わらないんだけどね。ボクは「なんとなく顔が好みだった」と言ういい加減な理由で拾われ、ドーラは「着せかえ人形にしようかなとなんとなく思った」という理由で拾われたらしい。五年もすると「ショタ以外に興味はない」と言う理由で独立させられ、二人で必死に力を合わせて生き延びた。今あの人はどうしてるんだろうね☆ もしかするとまた少年を弟子にして着せかえ人形にしたりしているのかもしれない。


『はぁん、ユキちゃんは可愛いわよねぇ……。顔は特に整ってるわけじゃないんだけど、ぽやぽやした笑顔についときめいちゃうわ』

「ドーラ、師匠みたいなこと言ってるよ☆」

『分かってるわよわざわざ言われなくっても! 仕方ないじゃない、目覚めちゃったんだもの』


 ドーラが女性向け雑誌を買ってきたのを見た時には、ついにドーラも頭がおかしくなったのかと思ったけどね☆ 天空闘技場で荒稼ぎしながらデザインの勉強をしてたった数年で夢を叶えた。それにはボクも心底から拍手を送ったよ☆

 それから数言交わしてドーラとの電話を切る。――何故だろう☆ 師匠に十年ぶりに会うような気がしてならない☆


「ショタコンであってロリコンじゃなから大丈夫、だよね☆」


 一緒に各地を巡った時も少女には全く興味がないみたいだったし安心……できたら良いんだけどね☆


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