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 顔は悪くないのに嗜好が残念なアルビレオさんは人型認証システムなだけが取り柄というわけじゃない。あの細いなりして戦えるし強いし、そのくせ頭脳戦の方が得意だとかどんなチートキャラなの。なのに「私はバグキャラじゃありませんからねぇ」なんて言うんだからラッキースケベ十歳児のお父さんとかどれだけ強かったんだってことになる。漫画が違えば強さの基準が異なるからスパロボみたいに混沌とした強さ比較なんて簡単にできない。できない――はずなんだけど、他の漫画からキャラクターの流入があると強さの差が目で分かるね。

 呪文が長い代わりに威力が半端ない爆発魔法の使い手であるルイズちゃんと、その従者で恋人のサイトさん。この二人はアルビレオさんの基準によると「ただのバグ」。「ただの」ってついてるけど意味合いは2525動画の段幕が規格。次に生身で宇宙へ行けちゃうタダオとレーコさん、ルシオラちゃんたちは「なんだ、ネ申か」らしい。そしてジョットさん率いる自警団ボンゴレについては「人ならざる存在が人の皮を被って歩いている」そうだ。魔法でもないのに額から炎出したりされちゃ人外にしか見えないよね。でも魔法を使える時点で私からすればアルビレオさんも人外なんだけどね。


「じゃあ、アルビレオさんは何なんですか?」

「私ですか……そうですね、パンピーですよ」

「嘘こけ、他人の暴かれとうない個人情報をこれでもかと知っとる奴が何を言うんや」

「弱いですよ、私は。だから情報面から攻めるんですよ」

「オレがロリコンじゃないって言った後のアルビレオさんすっげー怖かったんだけど」

「気のせいですよ」

「おまえは強いだろう」

「貴方の勘違いでは?」


 タダオ、サイト君、ジョットに繰り返し突っ込まれても受け流してしまうアルビレオさんを見ながら考える。ある意味一番敵に回したくないのはアルビレオさんだよなぁ、と。そりゃあサイト君やジョットが敵になったら困るけど、アルビレオさんの場合ほど困ることはない。彼はこの組織の極秘情報すべてを握っている――私が任せきりだからなんだけどね。


「話を元に戻そうか。これから世界規模の治安維持組織を作るにあたって、メンバーをどうしても増やさないといけなくなる。その増員した人たちが安心できる人かどうかの判別をアルビレオさんに頼みたい」

「自分で言うのもなんですが、私はかなり胡散臭い男だと思います。それでも私に任せると?」


 アルビレオさんは狐のように目を細めて訊ねた。


「うん。本当に胡散臭いよね、アルビレオさんって。でも知ってるでしょ? 私がアルビレオさんを信頼してるってこと」

「まあ、そうですね」


 帰宅するたびに私たちの心の中を覗いているんだから知っているだろうに、言葉が欲しかったのかそれとも言質が欲しかったのか。後者だね。


「私が幼女であり続ける限り裏切らない――そう言って入信してきたもんね」

「ええ。ロリコン仲間から永遠の幼女がいると聞いた時は耳を疑いましたが、そういえば私の仲間にもショタジジイがいましたから」


 そしてアルビレオさんは快活に笑い声をあげ、周囲の脱力を誘った。それってゼクトですよねー。


「その性癖をどうにかしないと結婚は無理だぞ」

「幼女が私の子供を産んでくれれば問題ないのですが」

「犯罪やドアホ!」

「オレはアレの仲間じゃない、オレは普通だ、うん。アレはないわ」


 三人に罵られたりドン引きされたりしながらも平気そうだ。自分の趣味を突き通すのは男らしい行為だと思うけど、ロリコンは突き通しちゃいけない趣味な気がする。自分の娘に欲情とかありえそうで怖いから止めて欲しい。

 以前何かで七歳で生理が始まった女の子がいるって話を読んだ覚えがあるから、アルビレオさんなら平気で幼児でも犯しそうだ。教団に性犯罪者はいて欲しくないんだけど。だからそんなアルビレオさんにはイエス幼女、ノータッチという言葉を贈りたい。


「イエス幼女、ノータッチ……なるほど、何かに目覚めたような気がしますね」

「それが倫理感とか一般常識であることを切に願いますよ」


 きっと無理だろうけど。


6/10
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